※出典:「ピアノ音楽史事典」
(千蔵八郎、春秋社、1996年)
第8章 ドビュッシーの出現と20世紀はじめのピアノ音楽
第9章 20世紀のピアノ音楽
終章 ピアノ音楽の歴史は終わったのか?
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ドビュッシーの出現と20世紀はじめのピアノ音楽
■ 概説
ドビュッシーが「20世紀のピアノ音楽の扉を開いた」と言っていいであろう。彼が印象主義への第一歩を踏み出したのは、1890年の《ベルガマスク組曲》の〈月の光〉からとされる。
この時期の「ピアニスト」は、19世紀前半の「ピアニスト=作曲家」という図式から離れて、演奏家としての活動が中心となっている。
しかし、20世紀前半には、スクリャービン、ラフマニノフ、ラヴェル、バルトークなどのように自作品を自ら演奏する作曲家もいた。逆に、パデレフスキのようにピアニスト活動が中心であった人もしばしば自作を演奏会で披露している。
■ 主な作曲家とピアノ作品
ドビュッシー(1862-1918)
・前奏曲集(第1集、第2集)
・2つのアラベスク
・ベルガマスク組曲
・ピアノのために
・版画
・喜びの島
・映像(第1集、第2集)
・子どもの領分
・12の練習曲
・小組曲(連弾)
・6つの古代のエピグラフ(連弾)
・白と黒で(2台ピアノ)
ラヴェル(1875-1937)
・亡き王女のためのパヴァーヌ
・水の戯れ
・ソナチネ
・鏡
・夜のガスパール
・優雅で感傷的なワルツ
・クープランの墓
・マ・メール・ロワ(連弾)
・ピアノ協奏曲 ト長調
・左手のためのピアノ協奏曲
サティ(1866-1925)
・3つのジムノペディ
・3つのグノシェンヌ
・新 3つのグノシェンヌ
・冷たい小曲集
・ぶよぶよした真の前奏曲(犬のための)
・ひからびた胎児
・太った木の人形のスケッチとからかい
・スポーツと気晴らし
・官僚的なソナチネ
・梨の形をした3つの小曲(連弾)
フォーレ(1845-1924)
・ノクターン 第1番〜第13番
・バルカロール 第1番〜第13番
・即興曲 第1番〜第5番
・ドリー(連弾)
デュカス(1865-1935)
※Paul Dukas 交響詩《魔法使いの弟子》
・ソナタ 変ホ短調
・ラモーの主題による変奏曲、間奏曲と終曲
モシュコフスキ(1854-1925)
・火花
・スペイン奇想曲
・ギター
・愛のワルツ
・15の練習曲
・スペイン舞曲集(連弾)
レーガー(1873-1915)
・表現のための10の小曲
・ソナチネ 第2番
・テレマンの主題による変奏曲とフーガ
ヤナーチェク(1854-1928)
・ソナタ 1945年10月1日
・草かげの小道で 第1集
・霧のなかで
アルベニス(1860-1909)
・スペイン組曲
・旅の思い出
・スペイン
・スペインの歌
・イベリア
グラナドス(1867-1916)
・スペイン舞曲集
・ゴイェスカス
スクリャービン(1872-1915)
・ソナタ 第1番〜第10番
・3つの小曲:エチュード 嬰ハ短調
・12のエチュード
・8つのエチュード
・24のプレリュード
・2つの詩曲
・詩曲《焔に向かって》
アレンスキー(1861-1906)
・2台のピアノのための組曲 第1番(〜第4番)