しばらくフランスのピアノ曲(作曲家)を調べていたので、「30人のピアニスト」の方が止まっていた。久しぶりの3人目は(たまたまですが…)フランス人のピエール=ローラン・エマールという人。バッハからブーレーズまで弾きこなしてしまう、なかなかのピアニストである。
■ エマールのプロフィール
KAJIMOTOサイトから引用する。
ピエール=ローラン・エマール(Pierre-Laurent Aimard, 1957年9月9日 - )
フランスのリヨン生まれ。パリ音楽院でイヴォンヌ・ロリオに、ロンドンでマリア・クルチョに師事。1973年メシアン国際コンクールに優勝し、弱冠19歳でピエール・ブーレーズからアンサンブル・アンテルコンタンポランのソロ・ピアニストに指名された。1980年代半ばから、親しかったジョルジ・リゲティの全作品の録音に加わるとともに、練習曲数曲を献呈された。
ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ロンドン響、ニューヨーク・フィルなどの一流オーケストラや、サイモン・ラトル、ニコラス・アーノンクール、エサ=ペッカ・サロネンら時代をリードする指揮者と共演を重ねている。
近年ではカルト・ブランシュ(演奏家に自由なプログラミングを託すコンサート)や音楽祭のプロデュースを任されることも多く、2008年にはサウスバンク・センターのメシアン生誕100年祭を企画し注目を集めた。翌年には、オールドバラ音楽祭の芸術監督に就任し、魅力あふれるダイナミックなプログラミングにより、聴衆や音楽評論家から大喝采を浴びた。ケルン音楽大学とパリ音楽院で後進の指導にも励んでおり、2009年には由緒あるパリのコレージュ・ド・フランスで講座やセミナーを受け持つなど、多彩な活動を展開している。
日本では、「ル・プロジェ・エマール」をトッパンホールで展開。オリジナリティあふれるリサイタルのほか、充実したワークショップなどが大きく注目されている。
この秋に、日本ツアーが予定されている。リサイタルでは、J.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻の全曲演奏、室内楽の方は、エリオット・カーターのチェロ・ソナタのほかいくつかのピアノ・ソロも。
■ エマールのYouTube音源
♪ PIERRE-LAURENT AIMARD Ligeti-Musica Ricercata I, Liszt-Nuages Gris, Boulez-12 Notations No.4,1,5,2(※音源なくなっている@2022/04/04)
まずは現代音楽(リゲティ、ブーレーズ)を聴いてみた。曲目は次の通り。
0:00 リゲティ - ムジカ・リチェルカータ I
4:39 リスト - 暗い雲(Nuages Gris)S.199
7:29 ブーレーズ - 12のノタシオン No.4/1/5/2(連続)
聴きなれない曲なのでなんともいえないが、演奏はなかなかいいと思う。会場・客の雰囲気も演奏もジャズのような雰囲気でいい。音楽を楽しんでいる感じ。リストの曲の前で説明がはいるのだが、言葉が分からないのが残念…。
これも現代曲、エリオット・カーターの「the second of Elliott Carters Two Diversions」と書いてある。これも面白い。これを機会に、もう少し現代ピアノ曲を聴いてみようかと思う。
(※元の音源なくなっているので入れ替えた@2022/04/04)
時代はいきなりさかのぼってバッハ。「フーガの技法」の演奏をいくつか見つけた。現代曲を聴いたあとで、どうかなぁと思いながら聴く。意外に正統派?的な弾き方。一つ一つの音がしっかりしていて、理由もなく「バッハらしさ」を感じた。好感のもてる演奏だ。楽譜を見て弾いているのもいい。
そしてフランス人なので、いよいよドビュッシーを聴いてみる。ドビュッシーの《12のエチュード》からNo.7(半音階のために)とNo.9(反復する音符のために)である。
この曲は、児玉桃さんのリサイタル(3月)のときにはじめて聴いた。そのときに予習のために何人かの演奏を聴いたのだが、そのときは内田光子さんの演奏が一番よかった。
エマールさんの演奏は、実に軽やかに、しかも一つ一つの音をクリアに響かせてくれる。難しいエチュードをいとも簡単に弾いている感じ。「ドライヴ」のかかった内田光子さんの演奏とは違うスタイルだが、この軽やかなドビュッシーもなかなかいい。他の曲もぜひ聴いてみたい。
(※元の音源なくなっているので入れ替えた:第5番のみ@2022/04/04)
これは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲が入っていて3時間以上の動画?(画面はずっとエマールさんの写真)である。オーケストラは「Nicolaus Harnoncourt 指揮の Chamber Orchestra of Europe」。
長いので、とりあえず第5番だけ聴いたが、悪くない。とくに第2楽章が美しい。
■ 感想・お気に入り度
まず、ピエール・ブーレーズやジョルジ・リゲティという同時代の音楽家と親しく、かつその作品を演奏するというスタイルにとても共感した。バッハの時代もショパンの時代も、みんな演奏家は同時代の作曲家の作品を弾いていたのだし、演奏家と作曲家の区別もなかった。
個人的には「現代音楽」に興味はあるのだが、なかなか理解できていないし、十分に楽しめるところまできていない。理由のひとつは「聴きなれていない」ということがあると思っている。なので、少しずつ耳を馴らしながら、いい作品を見つけたいと思う。
バッハやドビュッシーの演奏もなかなかいい。でも、バッハで一番かといわれると、私の中では今のところシフが一番だし、ドビュッシーは知っている範囲では内田光子がいいと思う。それでも、エマールのバッハ、エマールのドビュッシーも十分ありだと思う。そう思わせるだけの演奏である。
ということで、お気に入り最有力候補として、もう少し聴いてみたいピアニストである。
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