ジャイルズ・ファーナビーのヴァージナル曲は、当時流行した世俗歌曲などを元にした小品が多く、52曲が「フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック」Fitzwilliam Virginal Book(1562〜1612年頃のイングランド鍵盤音楽を集めた筆写譜)に収録されている。
以上、主な出典は下記。
代表曲がどれかというのはよく分からない…。
大学の先生が講義の中で選んでいた曲が「憂鬱なパヴァーヌ」だったのだが、どの曲がそれに相当するのか、YouTube で探した限りでは分からなかった。
もしかすると、この "The Flatt Pavan"(↓)かも知れない。Robert Johnson 作曲/ Giles Farnaby 編曲となっているので、元は歌曲なのかも…。割といい感じの曲だ ♪
なお、2曲目に入っている "Can Shee" は「フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック」では「作者不詳」となっている。
ちなみに、ジョン・ダウランドの「涙のパヴァーヌ」の編曲も残している。
英語の Wikipedia では、主な作品として、11曲のファンタジー、"Woody-Cock" という変奏曲、小品の "Giles Farnabys Dreame"、"His Rest"、"Farnabyes Conceit"、"His Humour" などが挙げられている。
また、日本語Wikipedia には、エルガー・ハワースによって編曲された金管五重奏用組曲『空想・おもちゃ・夢』"Fancies, Toyes, and Dreams" が紹介されているのだが、この中には次の 6曲が含まれている。
- The Old Spagnoletta(古いスパニオレッタ)
- His Rest(休息)
- Tell mee Daphne(話してダフネ)
- A Toye(おもちゃ)
- His Dreame(夢)
- The New Sa-hoo(新しいサフー)
こんな曲(↓ご参考)。
YouTube にはこんなプレイリスト(↓)があり 30曲が収められている。
この元となった CD がこれ(↓)のようで、タイトルからすると "Giles Farnabys Dreame" というのも代表曲の一つと考えてもよさそうだ。
このプレイリストを一通り聴いてみた。
感想としては、全体的にガチャガチャとした音が多く、また細かい音符(32分音符など)での速いフレーズが多用されて、落ち着かない印象の曲が多いような気がする。
この私の印象は、よく言えば「豊かな装飾を伴う対位法」「才気煥発とした鍵盤技巧」といった評価(出典 ↓)にもつながるようだ。
✏️ファーナビー:ハープシコードのためのファンタジア(全曲)(Tower Records)
たしかに「才気煥発」という表現は当たっていると思うし、鍵盤技巧を進展させたという貢献はしたのかも知れない。
ただ、あくまで個人的な感想であるが、当時の大衆のウケを狙った?流行歌的な要素を感じてしまうのだ。少なくとも、私の好みの作曲家ではなさそうだ…(^^;)。
でも、CD タイトルになっている "Giles Farnabys Dreame" はちょっといい感じかも…♪
一応、「フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック」の収録曲をコピペしておく。
Fitzwilliam Virginal Book
- Pavana (Robert Johnson set by Giles Farnaby)
- The K[ing's] Hunt
- Spagnioletta
- For tow virginals
- Daphne
- Pawles Wharfe
- Quodlings Deligte
- Putte upp thy Dagger, Jemy
- Bony sweete Robin
- Fantasia
- Wooddy Cocke
- Rosasolis
- Alman (Robert Johnson set by Giles Farnaby)
- The Nuwe Sa-Hoo
- Giles Farnabyes Dreame
- His Rest
- His Humoure
- A Maske
- A Maske
- Fantasia
- A Maske
- Fantasia
- Loth to departe
- Fantasia
- Fantasia
- Ay me, poore Heart
- Fantasia
- Walter Erles Pavan
- The L. Zouches Maske
- Grownde
- Upp T[ails] all
- Tower Hill
- Praeludium
- A Gigge
- Galliarda
- A Toye
- Farnabyes Conceite
- Telle Mee, Daphne
- Mal Sims
- Rosseters Galiarde
- The Flatt Pavan
- Why aske yow
- Farmers Pavan
- The Olde Spagnoletta
- Meridian Alman
- Fantasia
出典は下記。ただし、Wikipedia の "Giles Farnaby" の項には 52曲と書いてあるが、こちらには 46曲しか載っていない。
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