鍵盤音楽史の勉強 4人目の作曲家は、ルネサンス時代のオランダの作曲家・オルガニスト、ヤン・ピーテルスゾーン・スウェーリンク(Jan Pieterszoon Sweelinck, 1562-1621)。多くの声楽作品、鍵盤作品を残した。
スウェーリンクはネーデルラント鍵盤楽派を代表する作曲家。アムステルダムで作曲とオルガンを学び、アムステルダム旧教会のオルガニストとなる。対位法の複雑さや洗練、とりわけ対主題やストレット、保続音の用法において、バッハを予期していると言える。
教育者としても、ザムエル・シャイトやハインリヒ・シャイデマン、ヤーコプ・プレトリウスら、多数の優秀な音楽家を育てた。ハンブルクの主要なオルガニストのポストをスウェーリンクの弟子が占めたため、「ハンブルクのオルガニスト製造家」とも呼ばれた。
現存する作品は、声楽作品(シャンソン、マドリガーレ、モテット、詩篇唱)254曲、鍵盤作品(オルガン、チェンバロ)約70曲。
よく演奏される曲には次のようなものがある。…のだが、他にもいい曲が沢山あって、代表曲を絞るのは難しそうだ。作品の種類には、トッカータ、ファンタジー、コラール変奏曲、歌謡変奏曲などがある。
- ドリア旋法による半音階的幻想曲 SwWV 258
♪ Jan Pieterszoon Sweelinck - Fantasia Cromatica - 「わが青春の日は既に過ぎたり」による変奏曲 SwWV 324
♪ J. P. Sweelinck - Mein junges Leben hat ein Endt, SwWV 324 - 涙のパヴァーヌ SwWV 328(ダウランド作、スウェーリンク編)
♪ Pavana Lachrymae, SwWV 328
「フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック」にも次の 4曲がとり上げられている。
- Praeludium, Toccata
- Ut, Re, Mi, Fa, Sol, La a 4 voci
- Psalme
- Fantasia
以上、主な出典は下記。
✏️ヤン・ピーテルスゾーン・スウェーリンク(Wikipedia)
✏️スヴェーリンク 1562-1621(PTNAピアノ曲事典)
YouTube にスウェーリンクの "Complete Harpsichord and Organ Music" というのがあったので、数日かけて聴いた。収録曲リストを見ると 63曲ある。6時間半の音源だ…(^^;)。
聴き応えのある曲もかなりあって、全体的に私の好みの曲が多い ♪ フーガ的な作品やトッカータなどを聴くと、時代的にも J.S.バッハに近づいてきたかな?…という印象もある ♪
元の CD はこれ(↓)。
✏️Sweelinck: Complete Harpsichord and Organ Music(Brilliant Classics)
もう少し「代表曲」が知りたいと思い探していたら、代表曲を集めたとされる NAXOS の CD(↓)を見つけた。
Sweelinck Music for Harpsichord
この CD の収録曲は下記。
- 前奏曲(幻想曲)SwWV 265
- 「戦いの神マルス」による変奏曲 SwWV 321
- ドリア旋法による半音階的幻想曲 SwWV 258
- フィリッピのパヴァーヌ SwWV 329(フィリップス作、スウェーリンク編)
- 「わが青春の日は既に過ぎたり」による変奏曲 SwWV 324
- ドリア旋法によるトッカータ SwWV 286
- 「いと高きところにいます神にのみ栄光あれ」による変奏曲SwWV 299
- イオニア旋法によるエコー・ファンタジー SwWV 253
- 「もしも運命の女神に愛されるなら」による変奏曲
- パッサメッツォ・モデルノ SwWV 326
- 涙のパヴァーヌ SwWV 328(ダウランド作、スウェーリンク編)
- いざ来れ、異教徒の救い主よ(ルター作コラール、オジアンダーによる和声付け)
- 第1旋法による4声のファンタジア(作者不詳)
ピアノによる演奏もいくつかあった。
グレン・グールドは "Fantasia Contraria {in G dorian} SwWV 270" がお気に入りだったようで、いくつかの録音が残っている。これ(↓)は 1964年の録音。
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