✏️ピアノ演奏の音楽表現を人工知能で認識
―演奏の類似性を数値化して比較
これを発表したのは筑波大学と大阪大学の研究グループで、どうやらローランドが関係しているようだ。MIDI での録音再生ができる電子ピアノを利用する。
上の記事によると、ユーザが演奏した MIDIデータの中にある、打鍵タイミング(基準演奏からのズレ)、打鍵の強さ、音の長さの 3つのパラメータを使って「人の感じる音楽の感性を数値化」することができたと書いてある。
MIDIはデジタルデータなので、数値化はもちろんできると思うのだが、その数値が「人の感じる音楽の感性」を表すかどうかはかなり疑問だと思う。人間の感受性が 3つのパラメータで表せるとは到底思えない。
また、その数値を分類することによって「演奏の類似性」を数値で比較することができると言っているが、それはある程度可能だろう。
ただ、この機能を組み込んだローランドの電子ピアノは「即興的・躍動的・正統派」の 3種類のピアニストのどれに近いか判定してくれるそうだが…(^^;)?
こういう取り組み自体はとても面白いものだと思う。音楽や演奏の「新しい楽しみ方」が出てくる可能性もあるのかも知れない。
個人的には、ピアノ演奏の分析が進むことによって、名演奏の「名演奏たる所以(ゆえん)」が解き明かされるようになることに期待したいとも思う。
ただ、今回の発表にはいくつかの違和感がある。
一つは先ほども書いたが、3つのMIDIデータによる数値化。MIDIデータ自体の精度も限られているし(高精度化の試みもある)、やはり 3つだけでは足りないと思う。
それと「人工知能」という言葉を安易に使いすぎだと思う。これは、この件に限ったことではないが、自動化したりプログラムが判断することを何でも「人工知能」と言ってしまうことは危険だと思う。
それに音楽の場合、演奏の良し悪しを感じるのは「知能」ではなく、「感受性」や「人間性」だと思うので…。
それから、筑波大学とローランドの「発表資料」(PDF)にはこんなことも書いてある。
「ピアノレッスンの自動化にも応用が可能であり、目標とするピアニストの演奏をまねることで、音楽表現を練習するサービスへの展開も期待されます」
「ピアノコンクールをインターネット上のサイバー空間で開催し、人工知能による自動採点を行うことも可能です」
ピアノを教えておられる先生方、あるいはコンクールを目指している音大生の方などは、こういうことに対してどう思われるのだろうか?興味のあるところだ。
おまけ。素人が勝手なことを言ってみると…。
スタインウェイの自動演奏ピアノ SPIRIO では、有名ピアニストの演奏を再現するために「ハイレゾリューションフォーマット」というのを使っている。それは、
「ハンマー速度は1秒につき最大800回、1020段階のダイナミックスレベルに対応し、ダンパーペダルとソフトペダル両方のペダリングは、1秒につき最大100回、256パターンものペダルポジションを認識する」(出典:スタインウェイ80年ぶり「新型ピアノ」の魅力)
といったとても精度の高いデータである。なにせ、ラン・ランの演奏が再現できる(とスタインウェイは言っている)データなのだから…。
この「ハイレゾリューションフォーマット」に含まれるすべてのデータを使って、同じような分析や数値化をしてみてはどうだろう?
凄いことが色々分かってくるような気もするのだが…(^^;)♪
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