その中で、「両手で弾くピアニストたちの間で左手だけのレパートリーを演奏し、見事に優勝した」のがドイツ在住の日本人ピアニスト、児嶋顕一郎さん(↓)。これはすごいことだし、なんだか嬉しくなるニュースだ…(^^)♪
このニュースを知ったのは青柳いづみこさんのこの記事(↓)。
この記事によると、児嶋顕一郎さんは2017年くらいまでは両手で弾いていたようだ。2018年ごろから、ジストニアのため左手のピアニストとして活動することになる。
2018年3月にもスペインのビーゴ国際コンクールに参加し「アミーロフさんと同率で第3位に入賞」しているそうだ。これも左手のためのコンクールではない。
「タマーシュ・ヴァシャーリ、バドゥラ・スコダ、シプリアン・カツァリスらの審査員からは、真摯に音楽に向き合っている姿勢を評価された」とある。
リヴォルノ国際ピアノコンクール(INTERNATIONAL LIVORNO PIANO COMPETITION)は、イタリアのトスカーナ州にあるリヴォルノで、2017年から毎年開催されているピアノコンクール。
日本人の入賞者も多い。第1回では2位に梅田智也くん(2018年浜松のセミファイナリスト)が入っているし、第2回の3位に "Mari Kawakami" という日本人の名前がある。
今回の第3回でも、2位は「桐朋出身の山西遼さん」という人のようだ。
それにしても、コンクールで映えるような難しいレパートリーを(両手で)弾くピアニストたちに混じって、左手だけで勝負する?だけでも大変だろうと思うのだが…。
このリヴォルノ国際コンクールが、ほとんど「自由曲」であるのも児嶋さんにとっては良かったのかも知れない。唯一の条件は、セミファイナルで「1900年以降に出版されたコンテンポラリ作品を1曲入れること」だけ。ちなみに暗譜も必須ではないようだ…。
ピアノの演奏がスポーツ競技のようなものではなく、「芸術」であって、児嶋さんの音楽性が評価されての入賞だと思うと、技術に偏りがちな最近のコンクールに一石を投じているような気もして、ちょっと嬉しくなる。
レパートリーが気になって調べてみると、こんな感じ(↓)。編曲版も含めて結構あるもんだ…。F. Blumenfeld とか E.Schulhoff とか知らない作曲家もあるけれど…。
Preliminary
- J.S.Bach- Prelude for organ BWV 535/1 (Transcr. for the left hand by Hiroyuki Tanaka)
- B.Bartok- Etude for the left hand
Semifinal
- J.S.Bach-Brahms Chaconne (left hand)
- M.Ravel-Prelude in la-
- S. Bortkiewicz- Le poète op.29 n.5 and Wedding Song op.65 n. 3 (for the left hand)
- F. Blumenfeld- Etude for the left hand op.36,
- Toshio Hosokawa- Mai/old japanese dance music
Final
- A.Skrjabin- Prélude et Nocturne for the left hand op.9
- J.S.Bach- Gavotte from e major Violin partita (transcr. for the left hand alone by Rafael Joseffy)
- L.Godowski- Etude Macabre for the left hand
- E.Schulhoff-Suite No.3 for the left hand : Preludio, Air, Zingara, Improvisazione, Finale
どんな演奏をする人なのか知りたくて YouTube を検索したら、2018年3月にスペインのビーゴ国際コンクールで3位入賞した時の演奏(ファイナル)が見つかった。
そういえば、「ビーゴ」というのは "Vigo" で、今年は "Martha Argerich Edition" となっているコンクールだ。→《news: アルゲリッチのピアノコンクールが始まる♪ @Vigo in Spain》)
♪ Kenichiro Kojima (Japan) - FINAL- II INTERNATIONAL PIANO COMPETITION ¨CITY OF VIGO¨
なかなかいい感じの演奏だ。児嶋顕一郎さん、これからも頑張って欲しいと思う…(^^)♪
ちなみに、左手のピアニストとして初めてイギリスの名門王立音楽学校を卒業し、現在も活躍しているニコラス・マッカーシーというイギリスのピアニストもいることだし…。→《現代ピアノ音楽作曲家探索を少しやってみて…》
【関連記事】
《news: アルゲリッチのピアノコンクールが始まる♪ @Vigo in Spain》
《現代ピアノ音楽作曲家探索を少しやってみて…》
8 件のコメント:
素晴らしい記事と思いましたが、このコンクールのプログラム、左手のだけのレパートリーでないようですね。
ラヴェルと細川の作品は両手で演奏されたのですね。
フェイスブックに投稿された方は偽りを書かれたのでしょうか。残念です。
ご指摘、ありがとうございます。
私も VigoコンクールのYouTubeを最後まで聴いていれば、細川さんの曲で気が付いたはずですね…。失礼しました、途中までしか聴かなかったもので…。しかもフェイスブックの投稿をツイートと書いていた…(^^;)。(これは修正しました)
「左手だけのレパートリーを演奏…」という部分は引用なのでこのままにしておきます。ただ、青柳いづみこさんが引用している写真は児嶋さん本人のフェイスブック(https://www.facebook.com/kenichiro.kojima1/posts/2039144542832525)のもので、そちらを読むと本人が「全編に渡って左手のための作品を演奏…」と書かれているので、「左手だけの…」という記述になったものだと思われます。
児嶋さん本人は優勝の興奮で筆が滑ったのか、意識の中では「左手だけの…」という思いが強かったのか、そのあたりは分かりませんが…。
いずれにしても、凄いことに変わりはないと思います…(^^)。
「偽り」ですか、大したことじゃないですよ。
児嶋さんの「全編に渡って」という表現は間違ってないと思います。確かに1st、semifinal、final のそれぞれで左手の作品を弾いているのですから。もちろん両手でも弾いていいコンクールなのですから、両手で弾いても全く問題ないですし、むしろ、児嶋さんが右手も使って弾いてるということは喜ばしい事と受けとめられます。なぜなら、恐らく、児嶋さんが右手を使えるようになるまでには、大変なリハビリをしたと考えられるからです。私の友人にもジストニアの方がおられるので、よくわかります。でも、まだジストニア発症以前のようには戻られてないのでしょうね。だから、左手だけの作品で音楽を表現されようとなさったのでしょうね。素晴らしい音楽には、片手とか両手とか関係ないのだという事がよくわかりました。私も本当に凄いと思います!
なるほど!「全曲」ではなく「全編」ですね…。私の日本語読解力の問題だったようです。失礼しました…(^^;)。
もともと、私が感じたことは「素晴らしい音楽には、片手とか両手とか関係ない」というまさにそのことでした。ついでに、他のピアノコンクールももう少し音楽性や個性を重視してほしいなぁ…(その方が聴くほうも楽しめるのに…)ということでした。いっそのこと、フィギュアスケートのように「技術点」「演技構成点」に分けるとか…(^^;)?
仙台国際音楽コンクールのfacebookページにも児嶋さんの記事が出ていました。
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=2148060005244886&id=255710057813233
先日、友人に勧められて「ぴあのピアノ♪」というこちらのサイトを知り、いろいろな記事を楽しく読ませて頂いていた中で、この「左手のピアニスト」の記事を見つけて大変驚きました。前のコメントにも書きましたが、驚いたのと同時に「本当に凄い!!」と感激しました。それまで、私はこの児嶋さんのお名前も知らなかったのですが、コンクールの演奏をyoutubeでお聴きし大変素晴らしいと思いました。児嶋さんがどんなプロフィールの方か調べたのですが、なかなか見つからず、昨日たまたま仙台国際音楽コンクールと併せて検索したら、コンクールのFacebookにこのリヴォルノ国際コンクール優勝の記事が投稿されていて、児嶋さんのコメントやプロフィールも知ることができました。児嶋さんがジストニアを発症されてから左手の作品に取り組むようになるまでの大変な時期のこと等も書いてありました。そして、児嶋さんは世界的なピアニストのエリソ・ヴィルサラーゼ門下なのですね。エリソ・ヴィルサラーゼは私が大変尊敬する大好きなピアニストの1人です。なるほど!!と納得しました。児嶋さんのこれからの更なるご活躍を心から期待しています。
そして、これからも「ぴあのピアノ♪」を楽しみに読ませて頂きたいと思います。本当に有難うございます。
嬉しいコメント、ありがとうございます…(^^)♪
ピアノが好きというだけの理由で、自分の感じることだけを頼りに、素人のピアノ独習者が好き勝手なことを書き綴っているブログですが、楽しく読んでいただける方がおられるというのは本当に励みになります。
それと、児嶋さんのようにピアノや音楽に誠実に取り組んでおられる方の演奏は、奏でられる音楽にその誠実さが現れるような気がしています。応援したいと思っています。
おまけ:エリソ・ヴィルサラーゼさんも好きなピアニストの一人です。
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