2018年4月26日木曜日

作曲家ガブリエラ・モンテーロ(Gabriela Montero)もいい ♪

昨日の続きで、ガブリエラ・モンテーロ(Gabriela Montero, 1970年5月10日〜)の作曲家としての側面をとりあげる。





モンテーロが作曲家として活動を始めたのは2011年。第1作は "Ex Patria" と題されたピアノとオーケストラのための音詩(a tone poem for piano and orchestra)で、2011年の10月にイギリスのアカデミー室内管弦楽団とともにイギリスとドイツで初演ツアーが行われている。

"Ex Patria" とは「元の祖国」というような意味。子供の頃の思い出とはまったく様変わりした祖国ベネズエラに対する複雑な思いを反映したタイトルとなっている。


"Ex Patria" に関する短いドキュメントが YouTube にある。後半は全曲の演奏で、その部分だけを抜き出した動画もアップされている(下記の2つ目のもの)。

🎦 Gabriela Montero, "ExPatria". A mini-documentary.
 Gabriela Montero, "ExPatria". LIVE in Lugano, 2012.


音楽作品として聴いた印象は、音響としての美しさ(とくに弦楽とピアノ)の中に、とても心惹かれるものを感じる。

後半の "Lament" 的な部分はどこかで聴いたようなメロディーで、映画音楽のようでもあるが、その率直さのようなものが、音楽が語ろうとしていることを直接心に届ける役割を果たしているような気もする。


"Ex Patria" が収められている CD『ガブリエラ・モンテーロ』の Booklet には本人の解説文が載っている。その一部を引用すると…。下の訳はあまり自信がないです…(^^;)。

"Feeling a profound sense of the loss of my native Venezuela to unprecedented levels of violence and corruption, I wrote Ex Patria. Dedicated to the 19,336 victims of homicide in 2011, it is a polemical tone poem, an unapologetic vision of Venezuela’s accelerating civic collapse and moral decay, manifested by a further 21,692 homicides in 2012, and 24,763 in 2013."

前代未聞のレベルに達した暴力や腐敗に、私の母国ベネズエラに対する深い喪失感を感じながら "Ex Patria" を書きました。2011年に起きた殺人の被害者 19,336人 に捧げる、これは論争を呼ぶ音詩であり、ますますひどくなるベネズエラの謝罪のしようもない状況(殺人事件の件数、2012年に21,692件、2013年に24,763件で明らか)を描いたもの…


"My musical statement is not a political one. I am not a politician. It is my nation’s story. It is my regret."

私の音楽によるメッセージは政治的なものではありません。私は政治家ではありません。これは私の祖国の物語。そして私の遺憾の念(regret)なのです


このことを知ってもう一度この作品を聴くと、心に感じるものの質と量が変化したような気がする。それにしても、ベネズエラがそんな状況だったとは…。


ガブリエラ・モンテーロの2作目はピアノ協奏曲 第1番「ラテン」(the "Latin" Concerto)である。2016年3月20日に、ライプツィヒのゲヴァントハウスで初演されている。

オーケストラはクリスチャン・ヤルヴィ(Kristjan Järvi)指揮 MDR交響楽団で、ピアノはもちろん本人。ちなみに、この指揮者はN響の首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィの弟。

そのときの演奏が YouTube にアップされている(↓)。

 GABRIELA MONTERO: "Latin Concerto" @ MDR NETZ-KLASSIK

第1楽章 Mambo、第2楽章 Andante Moderato、第3楽章 Allegro Venezolano という構成で30分ほどの曲。

個人的にはマンボのノリのいい第1楽章が好きだ。第2楽章も第3楽章もラテン系のリズムに彩られていて、打楽器との掛け合いなどがいい感じではあるが、普通の?ピアノ協奏曲のイメージとはちょっと違うかもしれない。


そして、アンコールの代わりにお得意の即興演奏が続く。ここで彼女にとっての即興は何かという説明をしていて "the purist form of creation in music" の言葉が出てくる。

この日のお題は "somewhere over the rainbow"。この即興演奏わりと好きかも ♪


とりあえず作品としては2つだけなので、まだよく分からないが、何となく期待できそうな予感はする。できれば早い時期にピアノソロの作品を書いてほしい。それも、私でも何とか弾けるレベルの…(^^;)♪



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