2017年6月1日木曜日

クライバーン・コンクール、Semifinalist 12人を聴いてみた ♪

クライバーン・コンクールも第2ラウンド(Quarter Final)が終わって12人になった。

これまでに聴いていないコンテスタントを中心に一通り聴いてみた。その印象をメモ的に書いてみる。黄色いマーカーをつけたのは私のお気に入り候補、応援したいコンテスタント。


Kenneth Broberg - United States, 23

スクリャービンのソナタ第4番は面白かったので期待したが、あとのショパンとリストはいまひとつだった。ショパンの出だしはちょっと新しいショパンを聴かせてくれるのかな?と期待したのだが…。リストは中途半端。派手なパフォーマンス系でもなく、かといって音楽的に深みもなく…。


Han Chen - Taiwan, 25

ショスタコーヴィッチの "Prelude and Fugue in D-flat Minor No. 15, Op. 87"、初めて聴く曲だがなかなかいい。次の Thomas Adès の "Three Mazurkas, Op. 27" も現代音楽をこれだけ聴かせてくれるのか ♪という驚き。とくに、2曲目の美しい音の響きはよかった。

リストのソナタはどうかな?と思って聴き始めたのだが、これがまたリサイタルを聴いているようだった。コンクールにありがちなパフォーマンス系ではなく、ダイナミクスも実に音楽的。音色の変化、歌うところのの美しい音も際立っていた。

ちょっと調べたら、NAXOSレーベルの「リスト:ピアノ曲全集」の「第41集 オペラからの編曲集」を録音している。リストには定評があるピアニストなのかも…。


Rachel Cheung, Hong Kong, 25

1次予選(Preliminary)で「アムランの課題曲は良かったが他はイマイチかな?」と思っていたのだが、気になるので少し聴いてみた。

シベリウスの "Valse triste No. 1, Op. 44"、いい感じ。ショパンのプレリュードはどうかな?と思いながらちょっと聴いてみたが、これがなかなかいい ♪ 1次予選では少し硬くなっていたのかも…。

ちなみに、その風貌が少し似ているので「キット君(キット・アームストロング)のお姉さん」と勝手に呼んでいる。紅一点となってしまったので応援しようと思う。


Yury Favorin, Russia, 30

1次予選を聴いているので、少しだけ聴いてみたが、やはり今ひとつ好みではない。バッハ/ブゾーニの曲なんかはやや精彩に欠けていた?


Daniel Hsu, United States, 19

1次予選で聴いたので、ちょっとだけ確認の意味で、バッハ/ブゾーニの "Chaconne in D Minor, BWV 1004" を聴いた。なかなかいいと思う。何度かコンクールで見てきて親しみを感じて、ひいき目に見ているかもしれないが、応援したい。


Dasol Kim, South Korea, 28

スクリャービンのソナタ第4番は秀逸。同じ曲を弾いた Kenneth Broberg の演奏がかすむほど活き活きとして魅力的。でも、ショパンのプレリュードは平凡な印象。


Honggi Kim, South Korea, 25

何度か聴いて、判断の難しいピアニストだ。硬質な音は嫌いじゃないし上手いと思うのだが…。いつも出だしでおっと思いながら3分くらい聴いていると飽きてくるのだ。アムランの課題曲はよかったのだが…。

ハイドンのソナタ第31番は、彼の持つ硬質な音質が生きていていいと思ったのだが、やはり聴いているうちに飽きてくる。音楽の説得力に欠けるような…。もう少し遊び心というか柔らかさとか緩さとの…表現の幅が欲しい。ラフマニノフも同じ印象。


Leonardo Pierdomenico, Italy, 24

リストのバラード2番、上手いし音もきれいなのだが、なぜか伝わってくるものがあまりない。ラフマニノフの "Variations on a Theme by Chopin, Op. 22" になっても、同じような印象。途中で飽きてしまった。


Yutong Sun, China, 21

ショパンは面白くない、バッハの平均律も、リゲティのエチュードも…。ところが、最後のバルトークのソナタだけは、音が急に活き活きして音楽も躍動して面白かった。得手不得手がはっきりしているのか?


Yekwon Sunwoo, South Korea, 28

シューベルトのソナタ第19番、面白くない。ただ弾くだけのシューベルトは退屈だ。ラヴェルの "La Valse"、も迫力・ダイナミクスが感じられず…。


Georgy Tchaidze, Russia, 29

シューベルトの即興曲 Op.142-2, 3 は、解釈の問題かもしれないが、リズムの取り方(アーティキュレーション?)が少し気になった。いずれにしても、きれいに弾いてはいるが、ただそれだけとも言える。

プロコフィエフのソナタ第8番は、こんなに美しい曲だっけ?と思うくらいきれいに上手く弾いているとは思うが、なぜか、惹きつけられるものは感じない。私の好みではないが、評価する人もいるかも知れない。


Tony Yike Yang, Canada, 18

スクリャービンのソナタ第2番もリストのソナタも悪くはないし、嫌いな演奏ではないのだが、何というか「詰めが甘い」感じ。とくにリストは Han Chen と比べると聴き劣りする。応援したい若手の一人なのだが、どうだろう?


…ということで、

Han Chen、Rachel Cheung、Daniel Hsu は残ってほしい。その次は好みから言えば、Tony Yike Yang、Dasol Kim、Yutong Sun あたりなのだが、Tony はきついかな? Georgy Tchaidze、Honggi Kim あたりが入ってくる可能性もあるかもしれない…。

まぁ、私の好みで決まるわけはないので審査員にお任せするしかないが、とりあえず好きなことを言ってみた…(^^)♪

6月1日(日本時間で2日の朝)から、セミファイナル(リサイタルとコンチェルト)が始まる。もしかすると、モーツァルトのピアノ協奏曲で差がつくかも知れない。



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