一昨日の記事《エマニュエル・アックス:ベートーヴェンのピアノ協奏曲に感動♪》でご紹介した「ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のビデオサイト」にあった、ユジャ・ワンの弾くショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番を聴いた。
初めて聴く曲だったが実に面白かった。「良かった」というより「面白かった」という感想がピッタリの曲だ。
ユジャ・ワンのノリのよさ、もう一人のソリスト(トランペット)との喜劇のようなかけあいも絶妙。しかも、この難しい早いテンポの曲を、ユジャ・ワンは自分で譜めくりしながら(そう、楽譜を見て…)楽しそうに弾いている。
で、どういう曲なのか調べていたら分かりやすい解説記事を見つけた。それによると、
「…中でも1番のコンチェルトは面白い。それもちゃらんぽらんのおふざけじゃない。ショスタコらしく『思いっきり真剣に』ふざけるわけです」「抱腹絶倒の協奏曲(褒め言葉です。もちろん。笑)」
…とのこと。Wikipedia にはこんな風に(↓)紹介されている。
「自作や他人の作品からの引用が全曲に散りばめられている」(冒頭のベートーヴェン『熱情ソナタ』等)
「作品全体をシニカルな性格が貫いており、『正しくない調性』への横滑り、特殊奏法の要求やアンバランスな音色による風変わりな楽器法、ロシア音楽に伝統的な歌謡性の否定とリズミカルな楽想への極端な依存によって、当て擦りのような印象がもたらされている」
なお、正式名称は「ピアノとトランペット、弦楽合奏のための協奏曲ハ短調」とのこと。
そもそも、私自身ショスタコーヴィチはほとんど聴かないし(学生時代に交響曲を何曲かは聴いたかもしれない…)、ピアノ曲に至ってはまったく思いつかない。ピアノ曲の作曲家という印象はない。
でも、本人自身ピアニストを目指したこともあるヴィルトゥオーゾだったわけで、第1回ショパンコンクールに出場しているし、チャイコフスキーコンクールの組織委員会委員長にもなっている。
ショスタコーヴィチは、ショパンコンクールで優勝できなかったことに大きなショックを受けて、ピアニストの道を諦め作曲家になるのだが、諦めきれなかったようで自分の作品は演奏したようだ。音源も残っている(後述)。
気が向いたら、ピアノ・ソロ曲も聴いてみようかと思っている。
ところで、前述の解説記事に、
「推薦CDは有名なアルゲリッチ、フェルバー盤」「作曲者とクリュイタンスによる盤が存在し、これがまた名盤との噂」
と書いてあった。アルゲリッチと聞いて「そりゃピッタリだろう」と思って、寝る前の遅い時間にも関わらず、すぐに YouTube を検索して聴いてみた(↓)。
♪ Martha Argerich plays Shostakovich Concerto No. 1 (2010 )
※追記@2023/08/30:再生できません…となる。
で、関連動画にショスタコーヴィチ自身が弾いた音源("André Cluytens" とあるので、たぶん解説記事にあった「作曲者とクリュイタンスによる盤」と思われる)もあった(↓)ので、結果的には一晩で3人の演奏を聴き比べることになった…(^^)。
♪ Shostakovich Plays Piano Concerto No 1 3D Sound
※追記@2023/08/30:再生できません…となる。同じ録音かどうか分からないが、ショスタコーヴィチの演奏音源を見つけた(↓)。
聴き比べた感想としては、ユジャ・ワンはちょっと軽すぎるかもしれない。よく言えば軽妙洒脱。アルゲリッチは上手すぎるかもしれない。演奏の完成度は一番高いと思うのだが、難しい速いパッセージもきれいな音でどんどん弾けてしまうので、変な言い方だが「あまり外れない(はじけない?)」。トランペットもやや上品すぎる。
で、ちょうどいい感じ(バランス?)だと思ったのがショスタコーヴィチ本人の演奏だ。まぁ、自分の作品なので一番よく理解しているから?…でもないのだろうが、これを聴くと、ピアニストとしても大成したのではないかと思ってしまう。
ちなみに、この曲では第2のソリストであるトランペットがけっこう重要な役割を担っていると思われる。なので、曲名はやはり「ピアノとトランペット、弦楽合奏のための協奏曲」とした方がいいのではないだろうか。
おまけ。ユジャ・ワンの弾いたアンコール曲がよかった。スクリャービンの左手のために書かれた前奏曲(初めて聴いた)、これが実にきれいな曲(↓)だった。
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