もうすぐヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールが始まるが、今年は前回までと色々変わっているらしい。…ということを Dallas News の記事(↓)で知った。
(クライバーン・ピアノコンクールはここが変わった…その意味するものは…)
タイトル写真が面白いので引用させて戴いた。小さい写真で構成されているが、左上にクライバーン本人らしい写真も入っている。以下、何が変わったのか簡単に抄訳(意訳)してみる…。
まず、ラウンドが1つ増えて4ラウンドに再構成されている。
Preliminary Round (May 25-28)
45分間のリサイタル(マルカンドレ・アムランによる新曲を含む)によって20人が次のラウンドに進む。前回までの第1ラウンドには2回のリサイタルが含まれていた。
Quarterfinal Round (May 29 and 30)
45分間のリサイタルによって12人が次のラウンドに進む。新規に追加されたラウンドという説明があるが、以前の第1ラウンドが2つに分けられて、後半のこのラウンドが全員でなく20人に絞られた、というふうにも見える。
Semifinal Round (June 1-5)
1時間のリサイタルとモーツァルトのピアノ協奏曲(Nicholas McGegan指揮、Fort Worth Symphony Orchestra)によって6人のファイナリストが選ばれる。これまでは、リサイタルとピアノ五重奏であった。
Final Round (June 7-10)
ピアノ五重奏(Brentano String Quartet)と大規模コンチェルト(Leonard Slatkin指揮、Fort Worth Symphony Orchestra)によって最終結果が決まる。以前は、ファイナルに2つのコンチェルトが含まれていた。(さらにソロリサイタルがあったことも…)
これまではセミファイナルでピアノ五重奏、ファイナルでピアノ協奏曲2曲であったのが、セミファイナルでモーツァルトの協奏曲、ファイナルでピアノ五重奏と大きなピアノ協奏曲、というふうに構成が変わった。
この変更が何を意味するのかいまひとつよく分からないが、この記事を書いた Scott Cantrell 氏は「評価されるのは "musical eloquence" というよりは "survival" だ」と言っている。コンペチタにとってより過酷なレースになったということか…?
審査員のメンバーも刷新されたようだ。これまでは毎回同じような顔ぶれだったらしいが、今回、2013年(前回)にも審査員だったのはピアニストの Joseph Kalichstein ただ一人。審査委員長(chair)も、長年務めた John Giordano から Leonard Slatkin に交代した。
ピアニストがたくさん名を連ねているのも特徴の一つかも知れない。
課題曲を提供する Marc-André Hamelin、上記の Joseph Kalichstein 以外に、Arnaldo Cohen、Anne-Marie McDermott、 Alexander Toradze(1977年2位)、Christopher Elton(Royal Academy of Music in London の教授)、児玉麻里、、Erik T. Tawaststjerna がいる。
ちなみに、過去に何度も審査員を務めた Yoheved Kaplinsky(ジュリアード音楽院の教授)の名前が見当たらないが、その弟子の多くが入賞してきた「疑惑」?と関係しているのかもしれない(というようなことが書いてある…)。
それから外部向けの発信(ストリーム配信など)が強化されている。これまでは公式サイトで配信していたようだが、今回は Medici.tv が追加されて、配信範囲がアジアまで拡張されたとのこと。(前回は日本から見れなかった…ってこと??)
ファイナル最終日を全米の映画館でライブ中継する(→ねもねも舎参考記事)というのも初めて。
入賞者への副賞も増えている。3年間のマネジメントとコンサートに加えて、ユニバーサル(Universal Music Group)から上位3人のCDが出される。また、優勝者には、米国内のコンサートだけでなく、ヨーロッパとアジアでのコンサートも booking されるそうだ。
"booking" って、コンサートをアレンジしてくれるという「ご褒美」なんだろうけど、過酷なコンクールが終わってヤレヤレ感もあると思われる入賞者にとっては「罰ゲーム」みたいなニュアンスも感じてしまう…(^^;)。
まぁ、世に出る絶好の「チャンス」なんだから、そんなこと言ってられないとは思うが…。一流のピアニストは体力・忍耐力も必要なんだろう…きっと…。
とはいえ、ヴァン・クライバーン本人もチャイコン優勝で凱旋したアメリカで引っ張りだこになり、そのためかどうか分からないが、その後のキャリアも順風満帆ではなかったような…。
で、この記事にも "Cliburn curse"(クライバーンの呪い)という言葉が出ていて、ラドゥ・ルプー以外に成功したピアニストはこのコンクールから出ていないとか、不幸な目にあったピアニストがいる…みたいな話が書いてある。興味のある方は本文(英語)を…(^^;)。
まぁ、一人のピアノファンとしては、そんなことは気にせずに、気が向いたら Medici.tv を楽しむとしよう ♪ 「掘り出し物」的なピアニストとの遭遇もあるかもしれない…。
それに、日本人も一人(深見 まどか)出るし、直前で「追加」になったロシアの Nikita Abrosimov ってどんな人?というのも気になるし…。
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