2019年10月29日火曜日

News:中国でピアノが売れる理由…高度成長期の日本と同じ?

日経新聞に、ヤマハピアノの中国市場での販売額が日本国内での販売額を超えた、というニュースが載っていた。

「中国向け楽器事業の売上高が…10年間で3倍以上」といった内容に驚きはないが、中国国内の状況が高度成長期の日本に似ていることには、ちょっと苦笑してしまう…(^^;)。

✏️ヤマハ、中国の教育熱追い風 ピアノ販売が日本超す




記事の中に出てくるコメントなどを拾い出してみる。


「子どもがピアノを習うのは一般的よ」(ピアノ教師)…中国ではピアノの購入は憧れの一つ…かつての高度成長期の日本と同じように、家計に余裕ができた親は自分が習えなかった分、子に楽器を買い与え習わせる…


ヤマハの売れ筋(約15%)は3万元(約45万円)のアップライトピアノ…「2人の月収が1万元強(15万円)の30代の夫婦が、3~5歳の子どものために買う」


中国の幼児を持つ家庭は、家計の26%を教育費に払う(2017中国家庭教育消費白書)

都市部の幼児の9割が習い事をする…楽器は語学、絵画、ダンスの次に人気で20.6%が習う(幼児期の家庭教育国際調査2017)


中国ではピアノのスキルは「高校・大学進学に必要な内申書に書けるため人気」(ピアノ教師)


中国では、「一人っ子政策」が解除された今でも「一人っ子」が多く、家計のかなりの部分(26%)が教育費に回される、というのは日本の高度成長期とは違うかもしれない。

また、日本でピアノのスキルを内申書に書けたかどうかは分からないが、「特技:ピアノ」はそれなりに効果があったのかも知れない。

月収の 3倍のアップライトピアノを、その将来に大きな期待をかける子供に買い与えて、進学などに有利になるよう、あるいは教養ある人に育つよう?…というのは、高度成長期の日本にもあった光景のような気がする。


中国はそもそも人口が桁違いに多いので、ピアノの販売台数もいずれ世界一になってもおかしくない市場である。

したがって、ヤマハが中国市場でのシェア獲得に躍起になるのは当然だろう。記事にはこう(↓)書いてある。

「中国市場でのピアノの推定シェアは15年の20%台半ばから、19年3月期は36%に高まった。成果がでている販売策を一層強めて、22年3月期にはシェア40%を狙う」


また、2020年 3月期にはヨーロッパの販売額をも抜く見通しらしい。

「ピアノを含む中国向けの楽器事業の売上高は、…販売先の地域では中国は20年3月期に欧州を抜く見通しで、米国も抜いて世界一になる日も近そうだ」


「量」的な部分では、どんなに頑張っても中国には敵わないと思う。日本のピアノ界は、少なくとも文化的な「質」の部分ではもうちょっと頑張って欲しいとは思う。



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