2018年9月30日日曜日

Stuart & Sons が作った 108鍵のピアノ…(^^)!

Stuart & Sons というオーストラリア(オーストリアじゃない…)のピアノメーカーが、なんと「108鍵」のグランドピアノを作ったらしい…(^^)!

88鍵より多い鍵盤を持つピアノは、97鍵を持つベーゼンドルファー "Imperial Grand Model 290" などがあったが、それよりも多い 108鍵 9オクターブというピアノだ。




以下、World Piano News の記事と Stuart & Sons サイトから、少しご紹介したい。

✏️The World’s First Nine Octave Piano — The Big Beleura

✏️WHY 108 KEYS....(​Stuart & Sons)


クリストフォリによって作られた最初のピアノは 4オクターブ (49鍵:C2 to C6)であった。その後、1880年代になってほぼ 88鍵に落ち着いた (A0 to C8)。



ベーゼンドルファーが 97鍵の "Imperial" を作ったのは、フェルッチョ・ブゾーニがバッハのオルガン作品を編曲するためだったようだ。パイプオルガンの音域は少なくとも 9オクターブある。なので、広い音域を必要とする鍵盤作品はすでに存在するわけだ。

ベーゼンドルファーの "Imperial Grand Model 290" は、低音側に 9つのキーが追加されて 8オクターブ (C0 to C8) の音域を持つ。ご存知のように、追加された部分は「白鍵」の表面が黒くなっている。

Stuart and Sons も 108鍵の前に、2010年に102鍵のピアノを作っている。これは 2012年に書かれた Artur Cimirro の新しい作品の要請に応えたもの。

そして今回、97鍵に対して高音部に 11鍵が追加され 108鍵 9オクターブ (C0 to B8) となった。周波数でいうと 16Hz 〜 7,902Hz。ちなみに、人間の可聴域は 15Hz 〜 20kHz。


Stuart and Sons は小さな家族経営の会社で30年間手作りのピアノを提供してきた。オーストラリアの New South Wales、タマット(Tumut)川岸に工房を構えている(↓)。

🎦Snowy Valleys Up Close: Stuart & Sons Pianos


9オクターブのピアノを製作するには新たな技術が必要となる。とくに高音部のピアノ弦については、強い張力に堪えるものが、Stephen Paulello 社で開発された。

このピアノ、サイズは 1.8m×3.0m、重さは 644kg。筐体は合板の木目?模様で、このデザインは好みが分かれそうだ。ちょっと手作り感がありすぎ…(^^;)?


世界でただ 1台の 9オクターブのピアノは9月10日に メルボルン郊外にあるベルーラハウス(Beleura House)に納められ、"The Big Beleura" と名付けられた。ここには 102鍵のピアノ "The Little Beleura" もある。

9月22日には、現代作曲家 Alan Griffiths(Australian/New Zealand)を招いてのお披露目イベントがあったそうだ。


ここまでくると、その音を聴きたくなる。…が、いくら探しても音源が見つからない。

やっと見つけたのは、Stuart and Sons の NEWS ページの "Chris Moore - Factory experience - 108 Key Composition" という記事。そこに Arvo Pärt の "Für Alina" など 3曲の音源(音だけの mp3 音源)が貼り付けてある。

"Pre voiced Workshop sound samples" と書いてあるので、ちゃんと調律・調整する前の試し弾きをしたものだと思われる。

弾いているのは、この記事を書いた Dr. Christopher Moore のようで、この人は自分でも Stuart & Sons のピアノを持っているらしい。

この音源だけでは(録音のレベルもあるし)よく分からないが、響きが豊かな気がした。一度ナマで聴いてみたいものだと思うが、現時点ではオーストラリアのベルーラハウスに行くしかない…。

日本のどこかのホールに入らないかな? ちなみにお値段は $310,000AUD(約2,550万円)〜+税。今注文すると納品は 2020年とのこと。


おまけ。Dr. Christopher Moore の記事に書いてあったのだが、2オクターブ上/下とかの記号があるようだ。ちょっと調べてみた。

  • 8va:ご存知オクターブ。ottava alta(オッターヴァ・アルタ:1オクターブ高く)または ottava bassa(オッターヴァ・バッサ:1オクターブ低く)とも。
  • 15ma:2オクターブ高く/低く。15ma(quindicesima alta)と15mb(quindicesima bassa)と書き分ける場合も。
  • 22ma:3オクターブ高く/低く
  • 29ma:4オクターブ高く/低く

ma(マ)はイタリア語で「しかし・ただし」という意味らしい。9オクターブもあるピアノが登場すると、こういう記号の出番も増えるのかな…?



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