「身体に負担をかけずにピアノを弾く」ための工夫がいくつか書いてあり、その中にピアノの椅子の位置を左右にずらしたり、傾けたりするといいかも…と書いてある。
✏️ピアノを通して「からだの使い方」の基本を知る(PDF)
(下図と後述の「写真8・9」はこの論文からお借りした)
この論文の筆者(津髙 里永子 氏)は、そもそも「ピアノを弾くにあたっての問題点」が 2つあると言っている。この視点がまず私には新鮮だった。とくに一つ目。
- 鍵盤は一直線に並び、椅子は演奏中、動かさないという前提
- 奏者それぞれに身体的な癖や特徴を持っているという現状
…で、「身体にやさしい鍵盤」は上の図のように「円弧」に配置されるべき?なのだが、それは無理。だから、椅子の置き方にも気を配りましょうとなる。
そして二つ目の「身体的な特徴」。試しに、ピアノの前に座って「右手で鍵盤の左端(腕木)をつかむ」「左手で鍵盤の右端をつかむ」ことをやってみよう。すると、身体をねじるのが楽な方と苦しい方があったりする。
なので、ピアノの椅子を「苦しい方」に少しずらしたり(写真8)、傾けたり(写真9)すると、身体に無理な力が入りにくくなる…ということらしい。
たしかに、椅子は真ん中、鍵盤に正対すべし、と固定的に考える必要はなさそうだ。
それから、高音部・低音部を弾くときに身体を振り子のように左右に動かすのはよくないと書いてある。高音部で左腰が浮き、低音部で右腰が浮き、それは無駄な動きとなる。
で、どうするかというと「身体のねじり」を使う。そのときに、ねじる方向の足の膝を「ひらかないように締めておく」ことが大事とある。そうすることで、戻るときに無駄な力が入らないということらしい。
これは、今やっている「テンペスト」第3楽章に低音部を弾く箇所があるので、少し試してみたが、まだよく分からない…。
この論文には、他にも足の位置とか背筋とか小指の話とか色々書いてあるが、ここで一つひとつ説明するわけにもいかない。興味のある方は論文を読んで下さい…(^^;)。
私としては、椅子の位置や向きを少し気にしてみようかと思っているのと、身体のいろんな部分で無理や無駄を減らすことを、たまには考えてみようかと思っている。
ところで、この論文を読んでいて一つ気づいたことがある。
ウチで使っている椅子は背もたれ付きの椅子(↓)なのだが、これだと身体は一箇所にとどまっているしかない。なので、上に書いたように置く場所とかの工夫が必要になる。
ところが、ホールにあるような横長の椅子(↓)だと、この上で座る位置をずらすことができる。ピアニストによっては、実際に演奏途中で移動しているような人もいる。
もし向きを変えるんだったら、むかし学校にあったような(回して遊んだ…)丸い椅子の方がいいのかも? それにしても最近のものはずいぶんスリムになったような…(^^;)。
おまけ。実は鍵盤を「円弧」上に並べた…どころか「円」にしてしまったものが存在する。"PianoArc" というもので、数年前に発表、販売もされている。
まぁ、電子ピアノというか「キーボード」なので実現できたのだろうが…。
✏️レディー・ガガのバンドメンバーが作った「円形キーボード」が斬新すぎる!
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