浜松国際ピアノコンクールの第2次予選、実はライブでは数人しか聴いていないのだが、結果はやはり気になったので結果発表(ライブ配信)を見た。
1次と同じく1時間くらい遅れて、まず、課題曲の作曲者、三輪眞弘さんと山根明季子さんの話があり、そのあと海老彰子審査委員長の講評と発表があった。
山根明季子さんはプロフィール写真で見るより普通の感じで、曲「イルミネイテッドベイビー」は正直よく分からなかったが、人柄はちょっと好印象であった。
ついでに言うと、この同じ曲を何人もの演奏で聴くのは面白かった。ロシアンの硬質で叩きつけるような左手和音とキラキラの右手というパターンから、少し柔らかい右手と強弱とタッチを変化させたやや旋律を感じさせる左手というパターンまで…。これが曲の「解釈」というもの(の一部)だろうと思った。個人的には後者の解釈がしっくりきた。
審査委員長からは「この結果でみなさんの芸術が決まるわけではない」(芸術をこういう形で審査するのは難しい)といった趣旨の発言があった。
落選者に対する気遣いかもしれないが、この発言には少し違和感を感じた。本当にそう思うなら、コンクールをやらなければいい。やる以上は厳正にやってほしい。そしてできれば、事前に審査基準(審査委員団の考え方)をもっと明確にするとか、審査結果に対するある程度の説明をしてほしいと思う。
で、審査結果であるが、まあそんなものかな、という感じである。
1次予選の結果を眺めていて、これといった突出した(好みの)候補者を見つけられなかったこともあり、2次予選は興味がやや薄れてしまった、というのもあるが…。
今回は、なぜか好みの候補者が次々と落選していく。聴く耳がないといえばそれまでだが、今ひとつ釈然としない。チャイコンやショパコンではなかったことだ。
それと、候補者の演奏も1次予選と2次予選で印象がまったく違うことが多く、それも聴き手としては戸惑いを感じる原因の一つだろうと思う。
たとえば、1次でいいと思っていたアンドレイ・シチコとゲルマン・キトキンの2次での演奏はいただけなかった。ロシア奏法の使い方を間違うとこうなってしまう(大音量の硬い音→うるさいだけ)という例かもしれない。
一方で、1次予選では今ひとつだと思っていた三浦謙司くんが2次では健闘した。リストのダンテもラヴェルのソナチネもなかなかいい感じだった。とくにソナチネでは日本人らしからぬいい音色を出していたと思う。それに「イルミネイテッドベイビー」も音楽的な解釈・演奏だと感じた。
発表のあとで、通過者何人かの録音を聴いてみたが、アレクシーア・ムーサさんがなかなかいいショパンを弾いていた。やや大きなミスをしていたが、そのあと盛り返したと思う。ラフマニノフのソナタ第2番は美しい演奏だった。
1次予選の結果を見たとき、2次はロシア勢に圧倒されるのではないかと思っていたが、それほどでもない結果に少しホッと?している。といっても相変わらず1/3はロシア勢だ。(1次通過者で 24人中8人、2次で12人中4人)
3次予選は明日から2日間だが、室内楽(モーツァルトの ピアノ四重奏曲第1番か第2番)があるので楽しみにしている。まったく自由なプログラムでのソロリサイタルも面白そうだ。
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