YOMIURI ONLINE のカルチャーコーナーで、たまたま海老彰子さんのインタビュー記事を見つけた。浜松国際ピアノコンクール審査委員長として、である。
ちょっと面白い話があったのでご紹介。
一つは「やっぱり!」と思ったこと。ショパンコンクールの審査員でもあった海老さんだが、「『大きな才能』を示したチョにでさえ、審査員の半数以上から『1位なし』の声が出た」そうだ。
「…アルゲリッチらを前に、『説得力のある演奏をするのは並大抵ではない』」という発言もあるが、個人的には、普通のピアノ音楽ファンから見ても「1位なし」の方が説得力があったような気がしている。
日本人演奏者については、
「日本人はもっと個性を出さないと通用しない」
「きれいに見事に弾くだけでは、味のある人の前では陰ってしまう。日本人全体に言えること」
「中国や韓国をはじめ、世界で若手演奏家がパワフルに伸びている。反面、日本の若手には執着心が足りないように思う」
…と手厳しいが、同感である。「執着心」か…、なるほど。
「日本人の若手にエール」を送る趣旨のインタビューであるが、次のような発言を読むと、なかなか一朝一夕には難しそうな印象も受けた。
「海外勢が目覚ましい想像力を発揮出来るのは、子供の時から個性を伸ばす指導の成果だと肌で感じる」
「独自の道を探していけるタフな芸術家を求めたい」
「全ての音には体重、色、方向性がある。そこまで考えられるようにならなければ」
海老彰子さん自身も「恩師の巨匠チッコリーニから『ソノリティ(響き)を考えたらいかがですか』と助言され、演奏が変わった、と言っておられるが、やはりピアノは音色・音の響きが大事だと思う。
今日のキーワード:「個性」「味」「執着心」「タフ」「音の体重・色・方向性」「ソノリティ(響き)」。
それにしても、昨日の記事の野原みどりさんの発言にもあったし、以前から言われてもいたのだろうが、「個性」の問題は根が深そうだ。
まぁ、それはさておき、21日から始まる浜松国際ピアノコンクール。今年最後の大きなコンクールなので、ちょっと期待したい。楽しめるといいのだが…。
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