第1楽章と第2楽章の出だしだけ聴き覚えがあると思ったら、どうも選曲のときに何度か試し弾きをしたことがあったようだ。冒頭だけ見て弾けるかも?…と思ったらしい…(^^;)。
作られたのは 1817年、第4番に続いて二つ目の完成作品。この作品には「異稿」(D567 変ニ長調)があって、こちらを第7番とする表記も存在するので、ちょっと紛らわしい。
さらに紛らわしいのは、現行の「ドイチュ作品目録」では変ニ長調を「第1稿」、変ホ長調を「第2稿」として同じ「D 568」に当てられていること。D 567は欠番扱い。
まぁ、私としては「第7番= D 568」という一般的な扱い(旧ドイチュ目録)に従いたいと思う。D 567 変ニ長調の音源も少ないながらあるのだが、今回は聴いていない。
このあたりは、佐藤卓史さんのブログ「シューベルティアーデ電子版」に詳しいので、興味のある方はそちらをどうぞ。下記記事以外にも 5本ほどの関連記事がある。
✏️最終稿から遡る:ソナタD567とD568について(佐藤卓史)
完成作品なので音源は多い。しかも、わりと気に入った演奏が多かったので聴き比べにも時間がかかってしまった。紹介する音源も 6つで、これまでの最多?かも知れない。
この作品は、ピアニストによってかなり「解釈」に差があるようで、第1楽章だけでも様々に異なる印象の演奏が存在する。そのどれもがそれぞれに説得力があって、聴いているうちにどれが自分の好みなのか分からなくなってしまった…(^^;)。
不思議だ。もしかすると、この作品の「包容力」?が大きいとも言えるのかも…?
聴いた中で一番気に入った(自分のイメージに近いと思った)のはポール・ルイス(Paul Lewis、英、1972 - )。元々、この人のシューベルトは好きなのだが、この曲も素晴らしいと思う。フレーズの歌わせ方とか、微妙なタッチの組み合わせとか、音の響きとか…♪
(トラックNo. 4〜7)
このあと挙げる 5人はほぼ「順不同」。順位を付けている訳ではないが「同率 2位」という感じ。あえて言えば、こんな順番かも…という程度には並べてはいるが…。
ゲルハルト・オピッツ(Gerhard Oppitz、独、1953 - )、滑らか。
ダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim、アルゼンチン、1942 - )、歯切れ良さ・メリハリ。
エリザーベト・レオンスカヤ(Elisabeth Leonskaja、ジョージア、1945 - )、端正。
(トラックNo. 21〜24)
内田光子、繊細。
ジャン・チャクムル(Can Çakmur、トルコ、1997 - )の弾き方(解釈)は他のピアニストと少し違っているかも知れない。
実は聴き比べの最後は、第1楽章の冒頭 1分半ほどを順番に聴いてみた。
その短い間に何度か「場面転換」があって、ほとんどのピアニストは「場面」ごとに弾き方を変えていて、それが面白いのだが、チャクムルは比較的「単一」の弾き方で通しているように聴こえる。
でも、それはそれで音楽の流れとしては悪くないし、第1楽章全体の作り方(構成)としても説得力のあるものになっている。面白い…(^^)♪
参考
✏️シューベルト :ピアノ・ソナタ 第7番 変ホ長調 D 568 Op.122(PTNAピアノ曲事典)
✏️最終稿から遡る:ソナタD567とD568について(佐藤卓史)
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