2024年10月5日土曜日

Schubert ピアノソナタ第3番 D 459:優しく歌う舘野泉、メリハリのあるレオンスカヤ ♪

シューベルトのピアノソナタ全曲鑑賞、今日は第3番 ホ長調 D 459。

自筆譜(最初の 2楽章のみ)には「ソナタ」の標題と 1816年8月の日付がある。死後 1843年にライプツィヒの C.A.クレム社から「5つのピアノ曲」として出版された。

謎の多い「ソナタ」だが、初めて聴いてちょっと気に入った作品だ ♪




シューベルトの完成したソナタに 5楽章のものはなく、スケルツォが 2つ(第2・4楽章)あるのもおかしいと思われる。それで、現在のドイチュ目録では、最初の2楽章をソナタ D 459、残りの 3楽章(3曲)を「3つのピアノ曲」D 459A としている。

現在 5楽章のソナタとして演奏されている場合の構成は下記。

  1. D 459- I. Allegro moderato
  2. D 459- II. Allegro
  3. D 459A- 1. Adagio
  4. D 459A- 2. Scherzo. Allegro
  5. D 459A- 3. Allegro patetico


また「第5楽章」の Allegro patetico の最後の8小節に続いて D 349 Adagio が書かれている自筆譜が発見されたことから、Allegro patetico は別のソナタの第1楽章として構想され、D 349 はその緩徐楽章ではないか…という説が登場した。

セルゲイ・クズネツォフ(Sergey Kuznetsov、露、1978 - )というピアニストは、D 349 を自ら補筆し、「ソナタ No. 3½」として下記のような構成で弾いている。

("deest"= そのカタログに番号が存在しない)
  1. D 459A- 3. Allegro patetico
  2. D 349. Adagio
  3. D 459A- 2. Scherzo con trio. Allegro
  4. D 506. Rondo. Allegretto moto


この曲は、聴いた感じとしては 5楽章構成でもいいような気もした。ただ「ソナタ」感は希薄かも知れない。やっぱり「5つのピアノ曲」または「組曲」?

第1楽章の最初からしてちょっと不思議な、でもいい感じのテーマが聴こえてくる。そのあとも、シューベルトらしい?「歌」や「とりとめなさ」のようなものが感じられて、心地よい気分に浸れる作品になっていると思う。「隠れた名曲」かも知れない…(^^)?


この曲は多くの音源がある訳ではないが、二つの対照的な名演奏があることに満足 ♪


舘野泉(1936 - )さんの優しく歌う感じのシューベルトは本当にいいと思う。ずっと聴き続けていたいと思える演奏だ ♪

(トラックNo. 1〜5)



エリザーベト・レオンスカヤ(Elisabeth Leonskaja、ジョージア、1945 - )さんのメリハリのある歯切れの良いシューベルトも好きだ ♪

(トラックNo. 13〜17)

💿Schubert: The Complete Piano Sonatas, Wanderer Fantasy



参考

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