シューベルトのピアノソナタ全曲鑑賞、今日は第2番 ハ長調 D 279。
第1番 D 157 と同じ 1815年(18歳)の作品。自筆譜には "Sonate Ⅰ." と書いてあるので、シューベルトとしてはこの作品が最初のピアノソナタと考えていたのかも知れない。
ちなみに、1815年は「野ばら」D 257、「魔王」D 328 など、シューベルトの代表作となる優れた歌曲が作曲された年。
Allegro moderato、Andante、 Menuetto の 3楽章が残されている。第4楽章が欠落しているが、D 346 Allegretto(1816)がその候補として挙げられている。
レオンスカヤやマルティーノ・ティリモは第4楽章として D 346 を弾いているが、ケンプやシフは第3楽章までしか弾いていない。
個人的な感想(聴いた印象)で言うと、第4楽章の必然性はあまり強くは感じない。メヌエットで終わるのはちょっと変な気もするが、第3楽章で終わってもそれほど物足りない感じはしない。第4楽章(D 346)があっても、それはそれでそういう作品なのか…とは思う。
この曲はそれほど多くの音源がある訳ではない。気に入ったのはマルティーノ・ティリモとエリザベート・レオンスカヤの演奏。
マルティーノ・ティリモ(Martino Tirimo、キプロス、1942 - )は、自身が補筆した D 346(第4楽章)を含む「ウィーン原典版」を使っている。
ピアノの豊かな響きと音楽の流れがいい。第1楽章の第1主題は堂々としたユニゾンで提示されたあと異なる伴奏テクスチュアを伴って表情を様々に変えるのだが、そのあたりの表現は見事だと思う ♪
(トラックNo. 17〜20)
エリザーベト・レオンスカヤ(Elisabeth Leonskaja、ジョージア、1945 - )の演奏は、ティリモに比べるとかっちりしていて、ソナタとしての構築性を強調した演奏になっていると思う。堂々とした感じやメリハリ、歯切れの良さは素晴らしい ♪
なお、第4楽章の演奏はこちらの方が最終楽章に相応しいものになっていると感じた。
(トラックNo. 9〜12)
参考
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