1888年の旧全集に第1楽章だけが「ソナタ断章」として掲載されて以来、2楽章・3楽章・4楽章と様々な説が出て、未だに結論が出ていない…という謎の多いソナタ。
第1・2楽章の美しい旋律が気に入った ♪ シューベルトの意図通りに完成していれば初期の名作になっていたかも知れない…。4楽章構成の決定版を聴いてみたいものだ。
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💿Schubert: The Complete Piano Sonatas, Wanderer Fantasy
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ゲルハルト・オピッツ(Gerhard Oppitz、独、1953 - )は 3楽章構成。D 506 のロンド(第4楽章に当てられることがある)は単独で録音している。オピッツのシューベルトはたっぷりと歌う感じがして、とてもいい感じだ ♪
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1976年にパウル・バドゥラ=スコダが校訂した「ヘンレ原典版(第3巻)」では、"D 566/506" として下記の 4楽章構成のものが載っている。これは、1948年に音楽学者・翻訳家・作曲家のキャスリーン・デイル Kathleen Dale(1895 - 1984)が唱えた説によるもの。
I. Moderato ホ短調
II. Allegretto ホ長調(1907年プリーガーが発表)
III. Scherzo 変イ長調(1928年バウアーが発表)
IV. Rondo ホ長調 D 506(1905年シャイプラーの説)
この 4楽章構成で弾いている(録音している)ピアニストとしては、バドゥラ=スコダやリヒテル、マルティーノ・ティリモなどがいる。リヒテルは 3楽章構成の録音も残している。
YouTube を見ると、2楽章構成(レオンスカヤ、シフ)や 3楽章構成(オピッツ)で弾いているピアニストもいて、まだ「定説」は存在しないようだ。
ちなみに、ベーレンライター版の「新全集」では 3楽章構成となっている。
音源はそれほど多くない。気に入った 3つの演奏は、たまたまではあるが、2楽章・3楽章・4楽章構成になっている。
エリザーベト・レオンスカヤ(Elisabeth Leonskaja、ジョージア、1945 - )は 2楽章構成。レオンスカヤのシューベルトは本当に素晴らしい。1・2楽章の美しさをよく表現している ♪
(トラックNo. 4〜5)
ゲルハルト・オピッツ(Gerhard Oppitz、独、1953 - )は 3楽章構成。D 506 のロンド(第4楽章に当てられることがある)は単独で録音している。オピッツのシューベルトはたっぷりと歌う感じがして、とてもいい感じだ ♪
マルティーノ・ティリモ(Martino Tirimo、キプロス、1942 - )は、自身が校訂した「ウィーン原典版(全集1)」を使っていて、D 506 を含む 4楽章構成で弾いている。
ピアノの柔らかい響きと音楽の流れが素晴らしい ♪
(トラックNo. 78〜81)
参考
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