未完成(2つの楽章の断片)なのだが、聴き始めたとたんに気に入ってしまった。とくに第1楽章は素晴らしく、隠れた名曲と言ってもいいと思う ♪
第1楽章と最終楽章と思われる 2つの楽章の自筆下書きが残されていて、1818年4月と書かれている。両方とも未完成。
中間(緩徐)楽章として D 612 Adagio ホ長調を当てる説もあり、多くのピアニストが採用している。最終楽章に速度標語は書かれてないが、Allegretto で演奏されることが多い。
I. Moderato ハ長調 [未完 or 補筆]
II. Adagio ホ長調 D 612
III. (Allegretto) ハ長調 [未完 or 補筆]
このソナタはとてもいい作品だと思うのだが、シューベルトのソナタをたくさん録音している常連?では、スコダとティリモという自ら補筆しているピアニストが弾いているだけ。
その代わり?初めて聞く名前(Bart Berman と Gottlieb Wallisch)のピアニストが素晴らしい演奏を聴かせてくれる ♪ 意外にも?スティーブン・ハフが弾いていたりもする。
一番気に入ったのは、バート・ベルマン(Bart Berman、オランダ-イスラエル、1938 - )のダイナミックな演奏。一音一音がクッキリしている、と同時に豊かな響きを聴かせてくれる、とても魅力的な演奏だと思う。
ベルマンはシューベルトと現代音楽を得意にしているようだ。作曲家でもあり、シューベルトの未完のピアノソナタ、およびバッハの「フーガの技法」を補筆完成させている。
パウル・バドゥラ=スコダ(Paul Badura-Skoda、オーストリア、1927 - 2019)の演奏もなかなか素晴らしいものだと思う ♪
ゴットリープ・ヴァリッシュ(Gottlieb Wallisch、オーストリア、1978 - )の明快で心地よい演奏も好感が持てる。第1・3楽章は未完のまま弾いている。表記は第11番。
マルティーノ・ティリモ(Martino Tirimo、キプロス、1942 - )は、自身が補筆した「ウィーン原典版」(番号は第11番になっている)で弾いている。全体的に優しい感じの弾き方(解釈)になっている。これも嫌いではないが、この曲に関してはもう少しメリハリがあった方が私の好みに合っている。
(トラックNo. 37〜39)
スティーヴン・ハフ(Stephen Hough、英/オーストラリア、1961 - )は、比較的静かに丁寧に弾いている。個人的にはやや物足りなさを感じる。シューベルトの残した 2楽章のみ未完のままで演奏している。
参考
✏️シューベルト :ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調 D 613(PTNAピアノ曲事典)
✏️Piano Sonata in C major, D 613 (Schubert)(Wikipedia/ 英語)
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