第1楽章だけが、しかも未完で残されているという「断片」だが、聴き始めてすぐに好きな曲の一つになってしまった ♪ 多くの歌曲を残しているメロディーメーカー、シューベルトならではの美しいピアノソナタだと思う。
第1楽章だけの断片から 4楽章構成のピアノソナタを復元しようという努力もされていて、パウル・バドゥラ=スコダやマルティーノ・ティリモが補筆・再構成して、次のような構成で自ら演奏している。
I. Allegro moderato 嬰ヘ短調 D 571 [補筆]
II. (Andantino) イ長調 D 604
III. Scherzo. Allegro vivace ニ長調 D 570-2
IV. Allegro D 570-1 嬰ヘ短調 [補筆]
このあたりは、佐藤卓史さんのブログ「シューベルティアーデ電子版」に詳しいので、興味のある方はそちらをどうぞ。
✏️未完楽章D571・D570-1とその補完について(佐藤卓史)
「断片」ということもあり、音源は多くない。
マルティーノ・ティリモ(Martino Tirimo、キプロス、1942 - )は、自身が補筆した「ウィーン原典版」(番号は第9番になっている)を使って 4楽章構成で弾いているが、補筆・再構成も演奏もとても素晴らしい ♪ 決定版と言ってもいいと思う。
(トラックNo. 26〜29)
パウル・バドゥラ=スコダ(Paul Badura-Skoda、オーストリア、1927 - 2019)も、ティリモと同じ 4楽章構成で弾いている。というか、こちらの方が先。
アンドラーシュ・シフ(Sir András Schiff、ハンガリー、1953 - )も第1楽章だけ(未完のまま)演奏しているが、あまり気持ちの入った演奏には聴こえない。
参考
✏️シューベルト :ピアノ・ソナタ 第8番 嬰ヘ短調 D 571(PTNAピアノ曲事典)
✏️ピアノソナタ第8番 (シューベルト)(Wikipedia)
✏️未完楽章D571・D570-1とその補完について(佐藤卓史)
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