2024年6月2日日曜日

Bach.KB.BWV1079/4i「音楽の捧げもの」から「2声のカノン」(謎カノン)

「J.S.バッハの全鍵盤作品を聴く」プロジェクト、今日は「音楽の捧げもの」の中にある「鍵盤作品」(チェンバロで弾く or 弾けるもの) から BWV1079/4i「2声のカノン」。「謎カノン」という作り方になっている。




「音楽の捧げもの」全体の話についてはこの記事(↓)を参照して戴きたい。

《J.S.バッハ「音楽の捧げもの」とは》


この曲には発想記号のところに "Quaerendo inveietis"(求めよ、さらば見出さん)という聖書からの引用が書かれている。

タイトルは "Canon a 2." で「2声のカノン」とあるが、楽譜にあるのは単旋律(1つの声部=先行声部)だけ。でも、音部記号が二つ書いてある。ヘ音記号は逆さまになっていて、「反行カノン」であることを示している。

演奏者はここから、後続声部の開始点や音程間隔、反行、逆行などを決めて曲を完成させる必要がある。…というのが「謎カノン」。


オランダ・バッハ協会の動画ではヴィオラ・ダ・ガンバ × 2本の演奏となっているが、後続の演奏者(同じ人)は鏡に映っている。これは「反行」(mirrored)を表している。



チェンバロの 2段鍵盤を使った演奏動画(↓)も分かりやすい。2つのパートを「上鍵盤+下鍵盤」で弾くのと、両方とも下鍵盤で左手(逆行パート)を 1オクターブ低く弾くのと 2パターン見せて(聴かせて)くれる。

♪ 22 J.S.Bach:Musikalisches Opfer Thematis Regii Elaborationes Canonicae BWV1079


コンスタンチン・リフシッツ(Konstantin Lifschitz、ウクライナ、1976 - )の演奏(↓)。何度か(何種類か)弾いているようだ。

♪ Musikalisches Opfer, Op. 6, BWV 1079 (Arr. for Piano) : Canon a 2 Querendo invenietis

元のアルバム(↓)。

♪ J.S. Bach: Musikalisches Opfer, Op. 6, BWV 1079 (Arr. for Piano) /Konstantin Lifschitz:アルバム


この解説動画(↓)は、どこを演奏しているかが分かる楽譜付きで見せてくれるので、分かりやすい。チェンバロと室内楽団の二つの演奏が入っている。



『バッハの鍵盤音楽』の第18章「《音楽の捧げもの》および《フーガの技法》」に含まれる作品は下記。

  1. BWV1079/1 3声のリチェルカーレ
  2. BWV1079/2 6声のリチェルカーレ
  3. BWV1079/4a 2声の逆行カノン(蟹のカノン)
  4. BWV1079/4i 2声のカノン(謎カノン)

  5. BWV1080 フーガの技法


出典:

📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)

✏️音楽の捧げもの(Wikipedia)

✏️バッハ :音楽の捧げもの BWV 1079(PTNAピアノ曲事典)



【関連記事】
《J.S.Bach の鍵盤音楽》

《J.S.バッハ「音楽の捧げもの」とは》

《Bach.KB.BWV1079/4a「音楽の捧げもの」から「蟹のカノン」→を含むブゾーニのカノン変奏曲がいい ♪》

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