この 2つの「幻想曲とフゲッタ」は、17〜18世紀のドイツで教材としてよく用いられていた鍵盤用「パルティメント」(partimento)という形式で書かれている。
これは「和声を表す数字付きの低音声部だけが書かれた楽譜」で、他の声部を即興で補いながら演奏するためのものだったようだ。作曲の教材としても使われる。
BWV907 と BWV908 はバッハの真作かどうかは分からないが、バッハが弟子の教育に使った教材であることはほぼ間違いないと言われている。
「パルティメント」は、古楽コンクールでの課題として使われることもあるようだ。
✏️第15回古楽コンクール奮闘記(八百板チェンバロ教室)
ちなみに、チェルニーによる BWV907 と BWV908 の解決譜(リアライゼーション)が出版されている。冒頭の楽譜はその BWV908 の解決譜。
音源はあまり多くない。
下記は二つとも、 Stéphane Gassot という人による解決譜を使った、Justin Taylor という人のチェンバロ演奏。
BWV907 幻想曲とフゲッタ 変ロ長調
BWV908 幻想曲とフゲッタ ニ長調
♪ J.S. Bach: Fantasia and Fughetta in D Major, BWV 908 (Realisation by Stéphane Gassot)『バッハの鍵盤音楽』の補章 A.「真作であることが疑わしい作品」に含まれる作品は下記。
- BWV990 サラバンドと変奏
- BWV905 幻想曲とフーガ ニ短調
- BWV956 フーガ ホ短調
- BWV945 フーガ ホ短調
- BWV948 フーガ ニ短調
- BWV958 フーガ イ短調
- BWV960 フーガ ホ短調
- BWV959 フーガ イ短調
- BWV839 サラバンド ト短調
- BWV844 スケルツォ ニ短調
- BWV969 アンダンテ ト短調
- BWV970 プレスト ニ短調
- BWV907 幻想曲とフゲッタ 変ロ長調
- BWV908 幻想曲とフゲッタ ニ長調
出典:
📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)
✏️バッハ :幻想曲とフゲッタ 変ロ長調 BWV 907(PTNAピアノ曲事典)
✏️バッハ :幻想曲とフゲッタ ニ長調 BWV 908(PTNAピアノ曲事典)
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