そんな中で、10人以上のプロの演奏を聴き比べた結果を細かく書いた記事を見つけた ♪
✏️グレン・グールドをもとにしたゴルトベルク変奏曲の聴き比べ(CZTのホームページ)
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参考になりそうなので、第18変奏の箇所から少し引用させて戴く。
「6度のカノンで、後半になって最初のカノンです。快活なアラ・ブレーヴェです。右手の二声がカノンになっていて、半小節ずれてテーマを追いかけます」
「…テーマを通して聞いてみるとコラール風の、例えば『主よ人の望みの喜びよ』の雰囲気に通じるような感じのメロディに聴こえてきます。…左手の4分音符のあいだにちょこちょこっと8分音符が使われる、このリズム的な変化がカノンの全体の響きをトリオソナタ風にしていて、その装飾的な動きが変奏を重くさせないで、軽快さを失わせないようにしています」
コラール風というのは少し意外だった。
このあと、11人のピアニストを聴き比べた印象をかなり細かく書いてある。例えば、グールドの場合…。
「…左手のバスを強調して、右手のカノンは伴奏のように聴けてしまいます。とくに右手のカノンで弾かれる問いかけるようなテーマに応えるようにバスの上行するフレーズが強調されると、盛り上がってくる感じがします」
「…しかも、右手でのカノンのテーマの一部、附点2分音符が高いところで鐘が鳴るみたいにカーンと印象的に響きます。それがまるで、バスの上行するフレーズの行き着く先の高みに、高い音が響く。それがコラール風の上方を仰ぐ姿勢の雰囲気をつくり出しています」
私も、弾き方の真似をする(参考にする)ためのお手本を探すために、10人以上のプロの演奏を聴いたが、こんな細かい感想までは書けない。聴き方が浅いのだろう…(^^;)。
上の記事では、このあとシフ、ペライア、ケンプなど 10人のピアニストが続くのだが、残念ながら私のお手本候補のダヴィッド・フレイ、シュ・シャオメイ、ラルス・フォークトは含まれていない。
演奏の違いにはいくつかのポイントがありそうだ。一つはどの声部を強調するか。
グールドのように「バスを強調」するピアニストもいれば、上声 2部の「カノン」を強調するピアニスト(シモーネ・ディナースタイン)もいるようだ。
また、3つの声部をほぼ対等に扱い「三声のフーガのように」聴こえる演奏(ロザリン・テューレック)もあると書いてある。
もちろん、テンポにも違いがある。
軽快なテンポで速めに弾く人が多いようだが、ペライアのように「コラール風の厳かで劇的な感じを意識して、少しもったいぶっているようにゆっくり」弾くピアニストもいる。
私が聴き比べたときも、シュー・シャオメイやコロリオフなどはゆっくり目だった。
それから、グールドのところにあった「附点2分音符が高いところで鐘が鳴る」という、カノンの旋律の中の「長い音の響き」を強調するような演奏も、何人かのピアニストで見られるとのこと。
ケンプの演奏では、最初の音から余韻を感じられるような響きになっているらしい。
その他、音色の変化を声部ごとにつけたり、テーマが変わるごとに変化させたり…といったことは(たぶん)普通に行われているのだろうと思う。
あと、変化をつけるという意味では、繰り返しのときにオクターヴ上げたり(マルティン・シュタットフェルト、セルゲイ・シェプキン)、逆に下げたり(アンドラーシュ・シフ)といったことや、装飾音符を加えたり…ということも行われている。
私が聴いた中では、コロリオフがオクターヴ上げていた。
私の練習のお手本としては、今のところ、グレン・グールド、ダヴィッド・フレイ、シュ・シャオメイ、ラルス・フォークトの 4人を考えている。
…が、実際に真似をしようと思って聴き始めると、一人に絞らないと難しそうなことが分かってきた。4人の細かい違いが気になってくるのだ。
今回読んだ記事を参考にしながら、この 4人をもう一度聴き比べて一人選ぶつもり…。
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