《鍵盤音楽史:現代》 12人目の作曲家は、ミェチスワフ・ヴァインベルク(Mieczysław Wajnberg, ポーランド, 1919-1996)。
3年ほど前に福間洸太朗さんのツイートで知った作曲家で、ピアノソナタや室内楽を中心に聴いたことがある。その後、それほど聴いている訳ではない。
…が、1年ほど前にポーランドの Piotr Sałajczyk というピアニストが新しい録音を出したという記事を読んで、ピアノソナタの第1番〜第3番を聴いた。何となく縁がある…?
一度調べているので、3年前の記事からコピペ&編集させて戴く…(^^;)。
ミェチスワフ・ヴァインベルク(Mieczysław Weinberg、1919-1996)はポーランドの首都ワルシャワに生まれる。ワルシャワ音楽院で学ぶが、1939年ナチスのポーランド侵攻のためソ連に亡命。ソ連ではショスタコーヴィチと親交を結ぶが、スターリンの反ユダヤキャンペーンで1953年に逮捕されるなど、苦難の生涯であった。
スターリンの死により名誉が回復された後は、モスクワで、ショスタコーヴィチの近くに住み作曲のアイディアを分かち合っていた。彼の作品は、ショスタコーヴィチが称賛しただけでなく、エミール・ギレリス、レオニード・コーガン、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、クルト・ザンデルリングなどロシア随一の演奏家にも取り上げられた。
20の交響曲、17の弦楽四重奏曲、8つのヴァイオリンソナタ、6つのチェロソナタ、7つのピアノソナタ、7つのオペラなど多くの作品を残している。
ショスタコーヴィチの影響を受けたと言われることが多いが、プロコフィエフ、ミャスコフスキー、バルトーク、マーラーなどからも影響を受けている。
ピアノ作品には、7つのピアノソナタや子ども向けの小品、室内楽などがある。ピアノ五重奏曲(Op.18, 1944)、ピアノ三重奏曲(Op.24, 1945)やチェロ曲は、最近欧米のコンサートや音楽祭で演奏される機会が増えているようだ。
ピアノ作品を作曲年代順に並べてみた。
- 1933 2つのマズルカ
- 1935 子守唄 Op.1
- 1940 ピアノソナタ第1番 Op.5
- 1942 ピアノソナタ第2番 Op.8
- 1944 ピアノ五重奏曲 Op.18
- 1944 組曲『子供のノートI』Op.16
- 1944 組曲『子供のノートII』Op.19
- 1945 組曲『子供のノートIII』Op.23
- 1945 ピアノ三重奏曲 Op.24
- 1946 ピアノソナタ第3番 Op.31
- 1946 21の小品 Op.34
- 1951 ソナチネ Op.49
- 1951 ピアノソナタ Op.49a
- 1954 パルティータ Op.54
- 1955 ピアノソナタ第4番 ロ短調 Op.56
- 1956 ピアノソナタ第5番 Op.58
- 1960 ピアノソナタ第6番 Op.73
この他、6つのヴァイオリンソナタ、2つのチェロソナタ、クラリネットソナタなどでもピアノが活躍する。
今回はピアノソナタを中心に聴いた。YouTube で見る限り、第4〜6番がよく弾かれているようだ。個人的な好みとしては、第2番とか番号なしの Op.49a の方がいい感じがする ♪
第4番 Op.56 はユリアンナ・アヴデーエワの演奏がわりといい ♪
第5番 Op.58 は音源がこれ(↓)しか見つからなかった。弾いているのは英国のマレイ・マクラクランMurray McLachlan(1965〜)というピアニスト。
第6番 Op.73 は福間洸太朗さんが 2019年にフランスで収録した音源があった。
今回新たに見つけたこの CD(を弾いているエリザヴェータ・ブルーミナというピアニスト)はちょっとお気に入りかも知れない。選曲もいいと思う ♪
エリザヴェータ・ブルーミナ(Elisaveta Blumina、1976〜)はロシア系ドイツ人で、「ピエルネやシルヴェストロフなど近現代作品を得意とするピアニスト」だそうだ。
この CD の解説(↓)によると、Op.49a(Op.49bis)のピアノソナタは、ショスタコーヴィチに献呈された「ソナチネ」(1950)を1978年に改作したものだそうだ。民謡風の旋律の織りなす世界がとてもいい感じだ ♪
✏️ヴァインベルク: ピアノ・ソナタ集(Tower Records)
YouTube にプレイリスト(↓)がある。
組曲『子供のノート I〜Ⅲ』の全32曲を演奏した CD も見つけた。弾いているのは、スロヴァキアの若手ピアニスト、アネタ・マイェロヴァー(Aneta Majerová、1979〜)。ヴァインベルクを得意としているようだ。
子供のピアノ教材を意識している作品なので、どれも小品である。ちょっと面白い(美しい)曲もいくつかある。
解説によると、この『子供の音楽帳』は第2次世界大戦末期の厳しい時代の産物で、「陰鬱な行進」「葬送」といったタイトルの暗い曲も含まれている。
また、子供向け教材とはいえ、「ピアノの名手だったヴァインベルグの作だけに要求が厳しく、実際はプロ用の作品といえます」…と書いてある。
おまけ(再掲)。『ミェチスワフ・ヴァインベルク:ピアノ作品全集』。
内容は下記。
- CD1:ピアノソナタ 第1番&第2番, 2つのマズルカ, 子守歌, ピアノソナタ Op.49bis
- CD2:パルティータ, ピアノのためのソナチネ, ピアノソナタ 第4番
- CD3:子どもの雑記帳, やさしい小品, カンカン
- CD4:ピアノソナタ 第3番&第5番&第6番, ベルリンスキーの娘のための2つのフーガ
アリソン・ブリュースター・フランツェッティ(Allison Brewster Franzetti)というアメリカの女性ピアニストが弾いている。
主な参考記事は下記。
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