《鍵盤音楽史:現代》 13人目の作曲家は、リゲティ・ジェルジュ(Ligeti György, 墺, 1923-2006)。オーストリアとなっているが、生まれはトランシルヴァニアで、当時ハンガリー、現在はルーマニア領。
以前、リゲティのエチュードについては調べたことがある。
20世紀を代表する巨匠の一人と言っていいと思う。有名な作曲家なので、プロフィールなどの情報はネット上にもたくさんある。ここでは、高松宮殿下記念世界文化賞を受賞したときのプロフィールから抜粋しておきたい。
電子音楽によって膨大な音を重ねて新しい音を作るなど新しい実験的手法で常に話題をまきながらも、人間的な響きで人々を魅了した現代音楽の巨匠の一人である。
1923年、ハンガリーのトランシルヴァニア地方(現ルーマニア、ティルナヴェーニ)生まれ。クルージ音楽院で学び、56年まで母校で教える。
1956年のハンガリー動乱を機に亡命、ウイーンに移る。ケルンの電子音楽スタジオで、シュトックハウゼンらとともに活動、自己の作風を確立していく。
自身が「ミクロポリフォニー」と呼ぶ手法で書かれた「アトモスフェール」(1961)は、87個もの膨大な声部を積み重ね、個々の音の形態を消し、塊としての響きの変化のプロセスを描き出し、現代音楽史に残る作品となる。これはヨーロッパの作曲界を驚かし、映画「2001年宇宙の旅」にも使われている。
ピアノ作品を作曲年代順に並べてみた。
- 1941 4つの小品
- 1942 行進曲 :2pf
- 1943 ポリフォニック練習曲 :2pf
- 1943 アレグロ :4手pf
- 1947 2つのカプリッチョ
- 1948 インヴェンション
- 1950 3つの婚礼舞曲 :2pf
- 1950 ソナチネ :2pf
- 1951-3 ムジカ・リチェルカータ
- 1956 半音階的幻想曲
- 1961 3つのバガテル
- 1976 3つの小品
- 1985 6つの練習曲
- 1985-8 ピアノ協奏曲
- 1988-94 8つの練習曲
- 1994 L'arrache-coeur
- 1995-2001 4つの練習曲
YouTube で聴いた主な音源。
エチュードは定評のあるトーマス・ヘル(Thomas Hell、独、1970-)の演奏を聴いてみた。なかなかいい ♪
この CD(↓)のリリースが 2012年(録音は 2011年)なので、同じ音源かもしれない。
✏️G.リゲティ: ピアノのためのエチュード /トーマス・ヘル(Tower Records)
そして、「ムジカ・リチェルカータ」を聴いた。この作品、かなり聴き覚えがある。学生時代にでも聴いていたかも?ピエール=ローラン・エマールさんの演奏が素晴らしい ♪
11曲の小品からなる作品で、最初の曲は 1つの音だけで作られている(最後にもう 1つ登場するが…)。だんだんに音の数が増えていくという面白い趣向で楽しめる ♪
ソロ曲では「2つのカプリッチョ」も良い感じの曲だ。初期の作品で、「様々な作曲家の要素を取り入れた模倣的な作品」なのだそうだ。
第1曲はジェルジ・クルターグに献呈されている。
リゲティは 2台ピアノや連弾の作品もたくさん書いている。
このデュオ(↓)は楽しい ♪ このシュテンツェル・ピアノ・デュオ(Hans-Peter & Volker Stenzl)というのは結構有名なデュオらしい。ドイツの大学の教授のようだ。
この演奏はシャイ・ウォスネル(Shai Wosner、イスラエル、1976-)というピアニスト。以前、シューベルトでちょっと気に入ったピアニストだ。
他に鍵盤楽器向けの作品としては、チェンバロとオルガンの作品がいくつかある。ただし、楽器の使い方はバロック時代などとかなり異なっていて、電子音楽のようだ。
そして、弾くのはとても難しそうだ…(^^;)。
主な参考記事は下記。
✏️練習曲 (リゲティ)(Wikipedia)
✏️ジェルジ・リゲティ(京都賞 2001年受賞)
✏️ジェルジ・リゲティ(高松宮殿下記念世界文化賞 1991年受賞)
✏️「ピアノ・エ・フォルテ」(2) - G. リゲティ『ムジカ・リチェルカータ』(一風斎の趣味的生活/もっと音楽を!)
✏️リゲティの時代がきた! メジャーへ躍り出た孤高の作曲家(NIKKEI SYLE)
✏️ジェルジ・リゲティ逝去(ショット・ミュージック)
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