パンを頬張りながら何気なく見ていたのだが、さすがに小澤さん、惹きつけられる話がポンポンと出てくる。顔色もよく、お元気なようで嬉しい ♪
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毎年「小澤征爾コンサート」というのを開催している山ノ内中学校の生徒が、小澤さんへのお礼に合唱曲を歌ったビデオを見ながら、「この指揮者はきちんとしているがお行儀が良すぎるね…」などと、急に指導モード?に入ったりして…(^^)♪
そして、こちらも毎年開催されている「小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクト」というのがあって、中国、台湾、韓国、日本の若手音楽家を集めて練習・公演をするらしいのだが、そのなかでの小澤さんの感想も…
「どうも最近の若い音楽家はおとなしすぎる、とくに日本人が元気がない」
「技術だけじゃなく『勇気』を持たなくては」
…というもの。基本通りにちゃんと演奏できるけど、今ひとつ弾(はじ)けない!みたいなことだろう。それにしても、音楽(演奏)に「勇気」を持てというアドバイスは、ちょっと意外な気がするが、なぜかストンと腑に落ちた。
このところ、日本人ピアニストについても同じような感想を持っていたので、思わず「オーケストラでもそうなのか…」と心の中でつぶやき、「なぜなんだろう?」「どうすればいいんだろう?」と、私が考えても仕方のないことを思ってしまったのだった。
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もう一つ面白かったのは、ロストロポーヴィチとの「キャラバン」。
なんと、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(1927〜2007)と小澤征爾さんとが、日本各地で無料のコンサートを手弁当で開催していた、という話。経緯を聞かれたときの小澤さんの答えがなかなかよかった。
「ロストロポーヴィチは、音楽とはそういうもの、それを通じてお客さんとつながるものだと思っていたから…」
調べてみると、1989年に始めたらしいので、ロストロポーヴィチ 62歳、小澤征爾 54歳の頃、つまり二人とも世界の巨匠になった後の話だ。少なくとも、1993年、2002年、2005年と何度かやっていたようだ。これはすごいことだと思う。
第1回目のキャラバンは…
「最初の拠点は白川郷…。
荷台がステージになるトラックを手配し、出発したのが89年8月。…初日は辻先生の工房で深夜まで練習した。遠足気分が抜けなかった若者たちもすぐ集中するようになった。何せスラヴァ(ロストロポーヴィチ)にみっちりしごかれるのだ」
「翌日からはトラックでお寺や神社の境内、小学校などへ行き、朝、昼、晩と演奏して回った。もちろん入場無料。お客さんは多い時で千人だが、数人の時もあった」
…という様子だったようだ。(下記記事より)
✏️小澤征爾 キャラバン出発
生の音楽 小さな村にも 演奏が心に届く喜び教わる
✏️小沢征爾&ロストロポーヴィチ コンサート・キャラバン
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そして、ここまでの実績を積んだ巨匠の口から出た次の言葉はとても重みのあるものに感じられた。
「音楽は本当に難しい。(音楽を)やるの大変よ…」
何が難しいのか、重要なのかという質問に対しては、
「スコアをいかに読み込むか、作曲家のイメージしたものをいかに理解するか、そして(指揮者としては)それをどうやって若い人たち(オーケストラメンバー)に伝えるか」
という、ある意味「模範解答」のように思える答えだった。
…のだが、実際の練習風景で、細かい部分のニュアンスを表情豊かに伝えて演奏を磨いていく様子を見ていると、一つ一つの音符を全体のイメージにどうやって当てはめて行くかという作業を「勇気」を持って進めておられるのだなぁ…と改めて感心した…(^^)♪
これからもますますお元気で活躍してほしいと思う ♪
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