12月1日のリュカ・ドゥバルグのピアノ・リサイタルの予習第3弾。4つのピアノソナタのうち、今日はシューベルトの第14番(イ短調 D784 Op.143)を中心に。
実は、以前にもシューベルトのピアノソナタを調べたことがある。シューマン、シューベルト、ブラームスあたりのピアノ曲がよく分からん、と言っていた頃だ。
シューベルトは21曲のピアノソナタを残しているが、どれが一番有名なのだろう?
後期ソナタ(19番〜21番)はよく弾かれていると思うが、その他は「未完」のソナタが、1番、2番、6番、8番、10番、11番、12番、15番と8作品もあって(Wikipedia の楽曲一覧)、よく分からない。
どの曲が一番演奏されているのか、NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)で調べてみた。
日本語版NMLで「シューベルト ピアノソナタ」を検索した結果の上位50に3つ以上の録音があるものはこんな(↓)感じ。 ( ) 内の数字は出現回数。
5回以上:21番(9)、13番(8)、19番(7)、18番(6)
4回:16番
3回:4番、14番、17番、20番
英語版NMLの検索はCD単位で出てくるので、最初の約40枚のCDに登場する回数を数えた。
5回以上:19番(11)、20番(9)、21番(9)、13番(7)、15番(5)
4回:17番
3回:1番、4番、14番、16番、18番
後期3大ソナタ(19番、20番、21番)以外によく弾かれるのは、13番、15番、16番、17番、18番あたりだろうか。14番はそれほど多くはないが、弾かれない訳ではないという微妙なところにある。
前回調べた時は、下記のアンスネスの演奏で、シューベルトのピアノソナタの良さが少し分かった気になったが、その時は後期ソナタと、村上春樹さんお気に入りの17番であった。
※CD『シューベルト:後期ソナタ集』から
今回は、14番ということで、改めて聴いてみた。YouTube にはそれほどないようだが、わりと気に入ったのはリヒテルの演奏(↓)。
NML(英語版)でいくつか聴いた範囲で気に入ったのが次の2つ。
1つは、バレンボイムの『シューベルト:ピアノ・ソナタ集』(ドイツ・グラモフォン、2014年)。"Nos. 4, 7, 9, 13, 14, 16, 17, 18, 19, 20, 21" の11曲が入っている。
ダイナミック・レンジの幅が素晴らしい。基本的には男性的な(ちょっとベートーヴェン的?)シューベルトだが、一方で優しいメロディーも美しく聴かせてくれる。なんといっても、先へ先へと進む感じ(ドライヴ感?)が好ましい。
もう一つが若い頃のキーシン(CD出版年の1995年だとすると24歳)が弾いた『キーシン:ピアノソナタ / ハイドン52番, シューベルト14番』のシューベルト。
なかなかしっかりした構成感を感じさせる演奏だ。
シューベルトがこの曲を書いたのが1823年、26歳の時。苦悩や内省的な内容を含むと言われる14番だが、同じ年頃のピアニストによる解釈・表現の方がシューベルトの気持ちに近づけているのかもしれない。
リヒテル、バレンボイム、キーシンと、それぞれのシューベルトを聴かせてくれるが、さてルカくん(リュカ・ドゥバルグ)はどんな演奏を聴かせてくれるのだろう…♪
参考:PTNAの解説
1823年2月、ピアノ・ソナタにおける長いブランクからようやく這い上がった作品である。前作は1819年のD664(ただし25年説もある)あるいは1817年の5曲にまで遡る。しかし、前年の1822年にはソナタ風の要素をもった《さすらい人》幻想曲を作曲し、ピアノ・ソナタ分野に自信がついたものとみられる。このイ短調ソナタは、その幻想曲のヴィルトゥオジティを受け継ぎつつ、内省的な深みをも追求した作品となった。
第1楽章:アレグロ・ジュスト、イ短調、4/4拍子。ソナタ形式。暗く不気味な主題で始まり、全体は、その上ろうとすれば下に引きずり込まれるような音型に支配されている。また、ユニゾンと厚い和音、長い音と付点リズム、跳躍進行と同音反復や順次進行といった対照的な要素が共存し、劇的な楽章を形成している。
第2楽章:アンダンテ、ヘ長調、4/4拍子。やさしい慰めの主題と高音の響きが、まるでベートーヴェンの後期作品のような印象を与える楽章である。前楽章とは対照的な、明るく上向きな主題に注目されたい。
第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ、イ短調、4/3拍子。ロンド・ソナタ形式。和音使いの巧みなシューベルトにしては珍しいカノン風の主題と、対照的に彼らしい優美な調和をみせる第2主題とが交互に現れるが、中間部では展開されており、結果的にソナタ風の形式を成している。
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