この本は、第1部「練習の意味」、第2部「修練」、第3部「公開練習の成果」という構成になっているが、前の2つの感想文(↓)は第1部から、今回の記事は第2部からいくつかピックアップしたもの。で、第3部は人前で演奏する話で、私には無縁なので斜め読み…。
《つまらない演奏は…?:「心で弾くピアノ」読書感想文その1》
《ピアノの練習とは…?:「心で弾くピアノ」読書感想文その2》
タイトルを「練習のキモは無邪気さ…?」としたのだが、大人でも上達できる、とも読み取れる箇所が印象に残ったからである(↓)。その他は、ちょっと面白いと思ったものや役に立ちそうなことをいくつか…。
「練習も同様の喜びを与えてくれる。練習をすれば、今まで不可能と思っていたようなすごいことを達成できるようになるからである。…まず、実行するには遅すぎる、という誤った考えを捨てることから始めよう。」
ヘレン・ボイゴンという精神科医からの引用(↓)も、大人の学習者としては勇気付けられる言葉である。
「どんなものを学習する場合でも、…年齢にかかわりなくリラックスして、無邪気な気持ちになることができるかどうかということなのです。」
無邪気な気持ちの子供は、「今度は良いことがあると期待している。何でもできそうだと思い、しばしば本当にそうなるのである。」潜在能力という可能性にフタをせず、「自分の内から最大の力を引き出すことができる」ことを信じたい ♪
ピアノの「修練」の方法の中で、面白いと思ったものをいくつか…。
まず、キー(鍵盤)における「3つの位置」、すなわち「キーの上(表面)」「鍵盤の底」「エスケープメント・レベル」という、キーを押すときに意識すべき3つの場所について。
「エスケープメント・レベル」とは、上と底の途中にあるポイントで、キーをゆっくり押すとわずかな抵抗を感じ、そのあとスッとキーが軽くなる変わり目の場所のこと。(グランドピアノの場合)
ピアノのアクション構造でいうと、上〜エスケープメント・レベルまではハンマーを持ち上げている。そのあとハンマーは自由に弦に向かって飛んで行く。なのでエスケープメント・レベル以降(〜底)はいくら力を入れてもハンマーには何も伝わらない。
このポイントを意識することが、タッチ(音質・音量)や和音のヴォイシングをコントロールするのに非常に重要である、という話である。
和音のヴォイシングでは、例えば一番上の音を mf で、その他の音を pp で弾きたい場合、一番上の音は鍵盤の底まで弾きながら、他の指はエスケープメント・レベルまでしか押さない、といった弾き方をすることになる。(練習方法は長くなるので割愛…)
次は、ちょっとビックリであるが、重量奏法の練習?になるのかな…。
ピアノでは、指に重みを乗せてとか、腕の重さを感じてとか、よく言われるが、なかなかうまくいかない。その悩みが簡単に解決できる!のである ♪
簡単にいうと、フィットネスなどで使う「おもり」を手首につけて弾く、のだ。こういうもの(↓)だと思う。
シーモアさん自身が16歳のときに「おもり」を自作して試したところ、とても効果があったそうだ。
「…とつぜん、自分が豊かで響きのよい音で弾いているのが分かった。重みによって圧力を感じて、どうしても手が鍵盤の底に留まりがちになる。この圧力は指から指へと移す以外にない。…これは音をコントロールするのに必要な技術である。」
「おもりをはずすと、手がとてもしなやかに軽く感じられ、自分のレパートリーのなかで最も難しいパッセージでさえ、軽々と飛翔するように弾いてゆきたい気がすることだろう。」
なんか、ミスマッチな感じが面白い。一度やってみようかという気になってきた…(^^;)? ちなみに、重さは 450g〜1.4kg 位らしい。
もう一つ、指の体操(私の好きな分野 ♪)で気に入ったものをご紹介する。
「張りを持たせた指」を作る、というよりその感覚を覚えるための体操である。個人的には、手のひらを緊張させる感覚を覚える、あるいは手のひらを鍛える?ための方法としても使えそうだと思った。
左右の手の指を軽く開いて、体の前で指先どうしを合わせた形を作る。その状態から、左手の指先をそれぞれの右手の指の爪に乗せる。
その形で、左の指は軽く押さえつけ、右の指はそれに抵抗して押し上げる。この状態を保ったまま、右の指をひとつずつ上下に弾力的に動かす(曲げる)。それから、全部の指を同時に動かす。次に左右を入れ替えて行う。
簡単だし、何となく効果もありそうなので、風呂に入りながらの指体操メニューに追加しようかと思っている。手のひらだけでなく、反対の手の甲(の筋肉?)も鍛えられそうだ…。
最後に、ピアノを弾くときの「安定感」を増すためのヒントを2つ。
一つは「鍵盤の底に基点を置く」(感覚を意識する)というテクニック。
片手で複数の声部(例えばソプラノとアルト)を弾く場合、あるいは左手でベース音を維持しながら右手でパッセージを弾く場合、長く維持する方の音を「基点」として鍵盤の底に安定させる(押し付けるのではない)。それによって他の指がより自由に動けるようになる。
少し難しい感じがするが、例えばバスケットボールのピボット動作の軸足のようなものだと説明してある。
もう一つは、腕や指の安定を感じとるための練習。
右手だけでパッセージを弾きながら、左手で右手の前腕の左側を軽く押す。右腕はそれを押し返すつもりで安定させながら弾く。次に、左手を離して同じパッセージを「安定感」を意識しながら弾く。(左右を入れ替えて同様に)
以上で感想文的随想メモは終わり。あとは『シーモアさんと、大人のための人生入門』という映画を観に行かなくちゃ…(^^)♪
『心で弾くピアノ―音楽による自己発見』
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