2016年11月9日水曜日

シマノフスキのピアノ曲(ピアノソナタ第2番など):予習

12月1日に、リュカ・ドゥバルグのピアノ・リサイタルに行くことにしている(↓)。曲目は4つのピアノソナタ。モーツァルトの8番、シューベルトの14番、シマノフスキの2番、プロコフィエフの3番である。


そろそろ予習を始めようと思っているが、まずは、この中では一番馴染みのないシマノフスキから調べて聴いてみることにした。




カロル・マチエイ・シマノフスキ(Karol Maciej Szymanowski, 1882年10月6日 - 1937年3月29日)は、ポーランドの作曲家。ポーランドではショパンと同じくらい有名らしい。

その作品は、ロマン派の影響が色濃い第1期、印象派の中に独自のスタイルを磨く第2期、ポーランド民族音楽を追求する第3期とにはっきりと分かれている。


シマノフスキ第1期のピアノ作品

第1期は、ショパン、ワーグナー、スクリャービン、リヒャルト・シュトラウス、マックス・レーガーらの影響が見られる。


●4つの練習曲 op.4 (1900-02年)

ショパンやブラームスの影響が明らかな初期作品。第3曲 変ロ短調は、パデレフスキが絶賛し愛奏したことで、シマノフスキのピアノ曲中最も有名な作品となっている。



●ピアノ・ソナタ第1番 ハ短調 op.8 (1903-04年)

ショパンとスクリャービンの影響が顕著な作品。1910年にショパン生誕100年記念コンクールに応募し、一位を獲得した。第1楽章の主題を循環主題風に扱うなど後期ロマン派の手法を踏襲している。

個人的には、この第3楽章のオルゴールのような軽やかな曲がお気に入りである。



●ピアノ・ソナタ第2番 op.21 (1911年)

交響曲第2番と並ぶ、第1期の代表作の一つ。作曲者自身「悪魔的に難しい」と語る技巧的な作品。バラキレフ「イスラメイ」を思わせるソナタ形式の第1楽章、主題と変奏の第2楽章(終結部はフーガ)からなる。



シマノフスキ第2期のピアノ作品

第2期は、イタリアやパリを拠点として地中海地方を旅行し、オリエンタリズムとストラヴィンスキーやドビュッシーの影響が混在する個性的な作風の時期。


●メトープ-3つの詩 op.29 (1915年)

メトープとはギリシアの神殿建築などの柱の上に置かれた、物語性のある彫刻部分のこと。シマノフスキは1910年代に地中海沿岸を旅し、古代やイスラムの文化から数々の創作のきっかけを得ている。この作品もその成果の一つ。書法は印象主義的で極めて精緻。

ちなみに、私が初めてシマノフスキの名前を知ったのは、この曲をピョートル・アンデルジェフスキ(アンデルシェフスキ)の 演奏(下記 YouTube)で聴いたとき。


※追記@2022/08/19:音源が削除されているので差し替えた(第1曲のみ)


●仮面劇 op.34 (1915-16年)

オリエンタリズムと印象派が詰まった作品。この前年1914年にシマノフスキは、ドビュッシーとラヴェルに会っており、この作品は彼らへのオマージュとも言われている。

※追記@2022/08/19:音源が削除されているので差し替えた


●ピアノ・ソナタ第3番 op.36 (1917年)

本来ある4つの楽章をアタッカ(連続演奏)でつなげた単一楽章の作品。シマノフスキのピアノ曲中で最も前衛的・難解といわれ、難易度も非常に高い。曲の構成やフーガ主題などに、フランツ・リスト「ピアノ・ソナタ ロ短調」の影響が見られる。



シマノフスキ第3期のピアノ作品

第3期は、ポーランド独立後祖国に戻り、そこで民俗音楽(とくに南部のタトラ山地の民俗音楽)の研究に傾倒し、その影響下にある作品を生み出した時期。


●マズルカ集(全5巻20曲) op.50 (1924-25年)

第3期の、そしてシマノフスキのピアノ作品の代表作である。タトラ地方の民謡の特徴が活かされた野趣あふれる作品でありながら、同国以外への普遍性をも兼ね備えた作品である。



ピアノソナタ第2番の演奏

上であげた YouTube の演奏(Pf: Martin Roscoe)以外に、NLM(Naxos Music Library)にある演奏もいくつか聴いてみた。

その中で(今のところ)一番気に入っているのが、アヌ・ヴェヘヴィライネン Anu Vehvilainen (Vehviläinen) というフィンランドの女性ピアニストの演奏。下記のCDに入っている。



アヌ・ヴェヘヴィライネンは、シベリウス・アカデミーの博士課程でシマノフスキのピアノ・ソロ作品を専門とした人で、その後、全作品を録音しているとのこと。

※追記@2022/08/19:YouTube に音源があったので追加した(↓)




もう一つ、マルカンドレ・アムランの次の演奏(YouTube)もなかなかいい。マズルカ7曲の後にソナタの第2番を弾いている。2002年の紀尾井ホールでの録画。



出典・参考記事は下記。

✏️カロル・シマノフスキ(Wikipedia)

✏️シマノフスキ(PTNAピアノ曲事典)




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