「バッハ《パルティータ第6番》が、これほど壮大で豊穣な音楽だと改めて知らされた。〈サラバンド〉からが圧巻。…」と賛辞が並んでいる。「そうそう」と頷きながら読み終えたのだが…。なんだか妙な違和感が残った。
あまりにも褒めちぎっている感じ…。確かに素晴らしい演奏会だったと思うが、プロ?の評論家から見て、本当に100%の出来だったのか?
気になったので、ネットで他にレビューがないか探してみた。
すると、「アーティストの本音トーク キット・アームストロング①」という伊熊よし子さん(音楽評論家)の記事が見つかった。(※追記@2022/12/16:なぜか "Not found"?)
こちらも、「もっとも驚かされたのは、ときおり見せる大家のような風格に満ちた響き。まだ23歳だというのに、この落ち着きと安定感、作品を完全に手の内に入れた奏法は…」という手放しの賞賛である。
決して、3月のリサイタルに不満な点があったわけではない。伊熊さんの言葉にも異論はない。しかし…。
キット・アームストロングは、私の中では期待の星である。今回の演奏も素晴らしかったが、さらに大きく成長していく可能性を感じる存在だ。その期待とリサイタルを聴いての感動は下記の記事にも書いたとおりである。
「音楽の友」の記事に戻って、同じページの他のレビューを見てみると…。書き手は違うものの、どれも示し合わせたような賛辞のオンパレードである。「不世出のピアニストだと再認識」「クラシック音楽の本流を歩んでいる」「至る処に醍醐味を味わわせた至福のひととき」…。
ホントだろうか?と思う。ここまで、一点の曇りもない?美辞麗句が並ぶと、レビュー記事そのものが胡散臭いものに思えてくる。ジャンク・フードのCMとか、通販の大仰な宣伝文句と同じ匂いを感じてしまう。
吉田秀和さんレベルを期待するのは無理としても、もう少し冷静で公正な評価をしてもらいたいものだ。私のような素人クラシック・ファンは、レビュー記事を頼りに高いチケットを買ったりすることもあるのだから。その判断材料となるものを、ぜひ書いてほしいものである。
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