…というか、そもそもドホナーニがこんな曲を作っていることも知らなかった…(^^;)。
ドホナーニというと「指の練習」曲集(↓)くらいしか知らないし、ピアノ曲を聴いたのは 2018年の浜松国際ピアノコンクールで、安並貴史さんが弾いたときくらい…。
YouTube の音源を聴いてみた。
少し長めの序奏は「きらきら星」のカケラも感じさせない重く壮大なもの。…で、突然ピアノが「きらきら星」のテーマを演奏する…(^^;)。そのあとピアノと管弦楽による多彩な変奏が 11個も続き、最後フィナーレ(フガート)で締めくくられる。
11の変奏では色んな曲想が次々に登場し、中にはどこかで聴いたことがあるような曲もあり、けっこう楽しめる ♪
英語の Wikipedia(↓)を読んで思ったのは、これは第一次世界大戦前夜の不穏な社会情勢に対するドホナーニの皮肉とユーモアを交えた作品(ある意味「反戦」?)だったのではないか?…ということ。
✏️Variations on a Nursery Tune (Dohnányi)(Wikipedia/ 英語)
こんな(↓)副題が付けられていたが、コンサートのプログラムや出版楽譜からは削除されている。"annoyance of others" が物議を醸しそうだったからだと思われる。
"For the enjoyment of friends of humor, to the annoyance of others"
この作品の初演は 1914年 2月17日ベルリンにて。この年の 6月28日にオーストリア・ハンガリー帝国の皇位継承者であったフランツ・フェルディナント大公と妻がサラエボで暗殺され、8月には第一次世界大戦が勃発する。ドホナーニはハンガリーの作曲家。
また、Wikipedia の記事によると、ドホナーニは他の作曲家や作品を思わせるような作り方をしているようだ。"For the enjoyment of friends of humor" のための仕掛けだろう ♪
例えば、第8変奏はチャイコフスキーの交響曲第2番「小ロシア」第2楽章の行進曲を思わせるし、第11変奏はドビュッシーを思わせるような作りになっている…とのこと。
実際、このような仕掛けが聴衆にはかなり受けたようだ。
曲の構成は下記(参考)。
- 序奏: Maestoso 壮大なオーケストラ ホルンによる童謡主題の暗示
- テーマ: Allegro ピアノによる童謡主題の提示
- 第1変奏: Poco piu mosso ピアノによる 3連符の技巧的変奏
- 第2変奏: Risoluto 金管楽器とピアノの掛け合い
- 第3変奏: 優雅なアルペジオの上に夢見るような弦楽器
- 第4変奏: Molto meno mosso 木管楽器とユーモラスで楽しげな変奏
- 第5変奏: Piu mosso 鐘の音やハープと共にオルゴール風
- 第6変奏: Ancora piu mosso ピアノの 3度音程のスケールやトレモロ、技巧的見せ場
- 第7変奏: Walzer/Tempo giusto 第3変奏のように弦楽器と共に優雅な 3拍子
- 第8変奏: Alla marcia 4拍子に戻るが行進曲風
- 第9変奏: Presto 8分の3拍子、魔法使いの弟子のような印象 – Andante rubato
- 第10変奏: Passacaglia/Adagio non troppo 悲愴感や哀愁漂う抒情的な変奏
- 第11変奏: Choral/Maestoso 長い短調を抜けハ長調に到達、童謡主題そのものに戻る
- フィナーレ: Fugato/Allegro vivace 駆け回るフーガを経て、主題を完全に再現して終わる
真央くんの多彩なピアニズムが大活躍しそうな予感がする…(^^)♪
マイナーな作品だと思ったのだが、下記記事によると、「意外に録音が多くて、(カッチェン、)アール・ワイルド、シェリー、コチシュなど10種類くらい」あるそうだ。
ただ、知らないピアニストが多い…(^^;)。
✏️カッチェン~ドホナーニ/童謡の主題による変奏曲(気ままな生活)
ちなみに、N響の 2024-25 シーズンに登場するピアニストは、ユリアンナ・アヴデーエワ、エレーヌ・グリモー、ネルソン・ゲルナー、フランチェスコ・ピエモンテージ。
フランチェスコ・ピエモンテージ (Francesco Piemontesi、スイス、1983 - )は初めて聞く名前だが、2007年のエリザベート王妃国際音楽コンクールで 3位に入賞している。
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