ピアノなどの楽器をやっていると、曲やフレーズによっては走りやすい(速くなりがちな)ことがよくある。
…が、実は合奏においては、自然にまかせておけばほとんどの場合「走る」のだそうだ。そしてその原因が科学的に解明されたというニュースがあった。
私自身は合奏することもないし、そもそも合奏でテンポが速くなりがちなことさえ知らなかったのだが、ちょっと面白かったのでご紹介する。
24人の人に実験をやってもらって、その結果を分析して分かったらしいのだが、その実験内容は次のようなものだ。
一定のリズムを指で刻むこと(タッピング)を200秒間やるのだが、最初の10秒間だけはメトロノームがなっている。メトロノームが止まったあとも同じテンポを190秒間刻む、という単純な実験だ。
これを、800、500、300 ミリ秒間隔の3種類のテンポで行う。と言われてもピンとこないが、メトロノームでいうと、M.M.=75、120、200(Andante、Allegro moderato、Prestissimo くらい)になる。
同じ内容で、1人(ソロ)で行う場合と、2人一緒(ペア)で行う場合のデータをとって比較するわけだ。
その結果の一部が、下記のグラフである。
左のグラフは、800ミリ秒(M.M.=75)の実験結果で、ペア(紫色)の場合、間隔がだんだん短くなっている(テンポが速くなっている)ことが分かる。M.M.=88くらいまでテンポが上がっている。
ソロ(青色)の場合は、このグラフではどちらかというとやや遅くなる傾向にあるようだが、それほど極端ではない。
右のグラフで見ると、速いテンポになるほどソロとペアの違いは小さくなっている。速いテンポだとソロでも「頑張らなきゃ」みたいな気持ちによって少し速くなるのだろうか。
論文には、ソロの場合は様々なパターン(速くなる、遅くなる、ふらつくなど)が見られたが、ペアの場合は実験回数の80%で速くなり続けたと書いてある。ペアのタップ間隔は平均で7〜9%減少したそうだ。
ペアの場合、タップが早い方に合わせようとする「タイミング調節」が起きており、それによってテンポが速くなると考えられるそうだ。
つまり相手が自分より早くタップした場合、無意識に「自分が遅れた」と思う気持ちが生じている…のかな?
それとも、人間というのはこんなところにも「競争意識」が顔を出してしまうのか…(^^;)?
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