2016年9月14日水曜日

ピアノが上手くなる「第2の上達プロセス」を活用すべし!

《ピアノを弾く速さを上げたい!回る指?》の記事でご紹介した、スピード・アップの話の続きに、ちょっと面白いことが書いてある。(出典:"Fundamentals of Piano Practice" )

ピアノの練習における「上達」には2種類あって、効率よく上達するためには、「第2の上達プロセス」(原文では "PPI" )をうまく活用しましょうという話である。

効率的な練習方法のヒントにもなるかもしれないので、メモを書いておくことにする。


まず、ピアノの上達には2種類ある、と書いてある。

一つめは、練習中に、楽譜を見て弾き方を考えてそれが出来るようになるという上達。これは、そのパッセージを弾きこなすテクニックをすでに持っている場合の「上達」である。

今までに練習してきて身につけたテクニック(ピアノ演奏能力)を総動員して、例えば初めての曲が「練習中に」だんだん弾けるようになる、というのがこれである。

ある意味、この段階ではピアノの腕自体は「上達」していない、とも言えるだろう。その曲に慣れただけ…。


で、もう一つの「上達」が、「第2の上達プロセス」と訳した "PPI" というものである。

"PPI" というのは "Post Practice Improvement" の略で、直訳すれば「練習後の改善」となるのだろう。

簡単に言うと、筋トレにおいて、トレーニングを終わったあとに、とくに睡眠中に筋肉が修復・強化されることと同じことを言っている。

つまり、ピアノの練習を終えたあとに、人間の体は、練習中の動きを覚えたり、その動きを強化するために、神経回路や筋肉組織が変化する、ということである。

例えば、脱力がうまくできるようになるということは、そういう動きができる神経回路が作られ強化されていくことであり、場合によってはその動きに必要な筋肉が鍛えられること、なのである。


そして、この「第2の上達プロセス」"PPI" は、主に睡眠中に働くことから、その働きを効果的に利用するためにはいくつかのコツ(と課題?問題点?)がある。

まず、この"PPI" 効果を最大化するにはすべてを「正しく」行う必要がある、と書いてある。自分が練習で行った動きを体は覚えようとするので、その動きは「正しい」弾き方でなくてはならない。

間違った練習を繰り返すと、その間違いが身についてしまう、ということらしい。これは、私のような独習者にとっては大きな問題である。

一応、自分なりに「ラクに弾ける弾き方=(たぶん)正しい弾き方」という基準みたいなものを持ってはいるが…。

弾き直しなどのクセも、"PPI" 効果で強化されてしまっているのかも…(^^;)。


そして、とくに練習時間の最後に、いま一番上達したいことを、少し遅いスピードでもよいので、正しく正確に行うことがいちばん重要になる。この最後の演奏が "PPI" の作用に最も影響するということらしい。

これは、自分自身の練習を振り返ると、まったく真逆のことをやっていたことになる。

練習を終わるころには、だいたい疲れてしまっていて、かなりいい加減な弾き方で終わっているような気がする。

これは大いに反省して、今日から最後の練習はきちんと弾くようにしようと思う。


いい話もある。"PPI" というのは、いくつものことを同時に強化してくれるらしいので、いくつかのこと(課題やテクニック)を並行して練習する方がいいらしいのだ。

複数項目が同時に上達していく可能性があるということである。これは嬉しい話だ。

一つのことに集中しすぎるより、むしろ複数の練習をそれなりの回数こなす方が効率的であるようだ。


なお、この「第2の上達プロセス」("PPI")は、当然ある程度の時間(1日〜数カ月)がかかるが、内容によってその期間も異なる。

短いものは、例えば "conditioning"(調整・調節・条件付け)と言われるもので、これまで使わなかった筋肉を使うようにするようなこと。

数週間位の期間かかるものの例は、新たな神経回路が必要となるもので、例えば初心者が両手で弾けるようになることなどである。

「脳・神経・筋肉」の実際の成長が必要なもの、あるいは速く動く筋肉への変化などは、もっと長い期間(数カ月)かかると考えられる。

まぁ、年齢が高くなってくると、もっと長い期間がかかるような気もするので、気長に "PPI" 効果を待ちたいと思う。


とりあえずは、練習時間の最後には、その時点でいちばん上達したいと思っているいくつかの項目を、丁寧に弾いて終わることにしたいと思う。

いま練習中のハイドンのソナタは課題が盛りだくさんなので、やりがいがありそうだ…(^^;)。



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