■事前にプロの演奏を聴くことは?
昨日の記事で、「お手本となるプロの演奏を(できれば複数)聴いて」フレーズの区切り方の参考にする話を書いた。
このやり方に何の疑問ももっていなかったのだが、元音大生のカミさんによると、現役音大生のころにはあまりやってはいけないことだったらしい。
新しい曲をやる前にプロの演奏を聴くと、どうしてもそのイメージが残って、そのイメージに近い弾き方になるらしいのだ。それはすぐに教官に分かってしまうらしいのだ。
楽譜を見て分析して、自分自身の「解釈」で弾くべき、ということなのだろう。
■音楽的イメージを作る
でも初心者の私としては、曲のイメージや曲想のつけかたなどについてもプロの演奏を参考にしている。
たしかに、ネイガウス先生の本(『ピアノ演奏芸術』)にも「音楽的イメージ」は事前に持っている、あるいは作るべきだと書いてあった。
「前もって作品に目を通し、大まかにでも弾けるようにしてから、できるだけすばやく〈音楽的イメージ〉(内容、意義、詩的本質)を自分自身にはっきりさせること」
しかしよく考えてみると、われわれの持っている音楽や曲に対するイメージは、ほとんど聴いたものから得たものである。楽譜を読み解いて得たものはほとんどないといってよい。
音楽家・演奏家や音大生にとって、楽譜からいろんなことを読み取り、かつ自分自身の独自の解釈をつけ加えることは、とても大事なことにちがいない。ただ、趣味でピアノを練習している人(私)にとって、そういう能力をつけることはとてもハードルが高い。
■プロの演奏を聴いて学ぶこと
ということで、自分の演奏能力を高めるためにも、プロの演奏を聴いていろいろと参考にさせていただくことにしよう。どんなことを参考にしているかというと、たとえば、
・曲のイメージ
・フレージング
・表情のつけかた(強弱やルバートの仕方)
・テンポ
などである。
自分の弾くテンポについては、だいたいがプロの演奏より遅くなりがちである。しかし、遅すぎると別の難しさが出てきたりする。自分にちょうど合ったテンポを見つけ出すのにも、プロの演奏をいくつか聴いてみることが役に立つ。
ピアニストによるテンポの差を聴きくらべるのもじつに面白い。
例えば、いま練習中のバッハのプレリュード(第1巻・第9番)では、リヒテルが1分5秒(とても速い)で弾いているのに対して、エル=バシャの演奏は1分44秒かかっている。1.6倍の違いである。
この場合、お手本にするのはもちろんエル=バシャのほうである。
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