■ ピアノ練習の効率
毎日のピアノ練習を効率的にやりたいと思って、いろいろとやり方を考えている。
そのなかで気になっていることの一つが、同じ練習をまとまった時間とってやる方がいいのか、毎日少しずつの時間をとって繰り返したほうがいいのか、ということである。
ピアノ練習に関する本などを読んでいると、まとまった時間を使って練習することを薦めているものが多い。たとえば次のようなエピソードがある。
リヒテルは、あるときプロコフィエフのソナタ第9番の非常に難しいフレーズをとても素晴らしく弾いた。そのことをほめられたリヒテルはこう答えたそうだ。「私はそのフレーズを休みなく2時間練習したからね。」
また、ヴィルトゥオーゾとして知られるリストは特別にむずかしい箇所を100回ずつ練習した、とも伝えられている。ただ、リストにしてもリヒテルにしても、それ以外の部分は完璧に弾けるので、むずかしい箇所に集中できるのだろう、とは思う。
指に覚えさせるためには、まとまった時間の繰り返し練習が必要なことはよく分かる。しかし一方で、繰り返し練習をつづけていると集中力が落ちてくるし退屈でもある。なので、それほど集中力のつづかない大人としてはもう少し工夫の余地はないものかと考えるのである。
たとえば、まとめてやるべき練習と毎日少しずつやるべき練習とに分けてみたらどうだろう。
■ まとめてやるべき練習
譜読みは、大曲でないかぎりは一度にまとめてやった方がよさそうである。曲の構成もつかみながら、繰り返し部分などで微妙に変わる部分を確認しながら…、などと考えると分けてやるのはむずかしい。
譜読み段階で、指使いをいろいろためして決めていく作業も、基本的にはまとめてやることになるだろう。指が覚えるまでは無理としても、指がなじむ、いちばん自然に動かせる指使いを確認する必要がある。
ある程度練習が進んでから、苦手な箇所を練習するというのも、集中してやるべきことになると思われる。ただ、なかなか上達しないと同じところを繰り返し練習するのはけっこうしんどい。テンポを変えたり、スタカート部分をレガートで弾いたりと、いろいろ工夫はするものの、長時間は続かない。まあ「継続は力なり」を信じて耐えるしかないのだが…。
■ 毎日少しずつやるべき練習
毎日少しずつやるべき練習としては、いわゆる「基本練習」の類ということになるだろう。
私自身はあまりやらないのだが、音階練習やハノンなどは毎日少しずつやった方がよいと思われる。「少しずつ」といっても、30分以上続けてやらないと効果がないなどという説もあるようだ。退屈なので本を読みながら練習する人もいるらしいが、私にはとうてい無理である。
代わりに、というわけでもないが、私が毎日少しずつやっているのは「脱力」の練習である。指馴らしも兼ねて、十分に弾けるようになった曲で脱力の感覚を確認するようにしている。いまはバッハのプレリュード(平均律第1巻の第1番)を使っている。
ほかに毎日コツコツやるべきこととしては、「鍛錬」系がある。指の筋トレやストレッチは毎日やることで少しずつ改善していくものなので、当然まとめてやるわけには行かない。
音大生や音大を目指す人たちは、まとまった量を毎日続けるということだと思う。なので、そもそもこういう分け方は無意味なのかも知れない。
それでも、より効率的・効果的な練習方法はあると信じているので、いつの日か科学的に証明された効率的練習体系のようなものができればと思っている。
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