バッハのプレリュード(平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第9番 ホ長調)をなんとか暗譜して、2~3箇所つまづきながらもとまらずに通して弾けるようになった。この1週間で格段の進歩である。
ポリフォニー的な曲に対する苦手意識もだいぶ薄れて、弾き込み練習では、普通に(たとえばベートーヴェンと同じように)部分練習と通し練習ができるようになってきた。克服の鍵は、おそらく「暗譜」と「脱力」である。
■ 「暗譜」の効果
私の「暗譜」は、(常識とはたぶん違っていて)弾けるようになる前に覚えてしまうことである。指使いを考えたり、あれこれ苦労しているうちに、譜読みが終わるころには(自然に)ほぼ覚えてしまう。
ところが、なぜかバッハの場合はこれまでなかなか暗譜ができなかったのである。なので、今回は(正確に言うと第1番のプレリュードから)意識して「暗譜するぞ」と思いながら取り組んでみた。どちらかというと「指で」「音で」「楽譜で」というより、「頭で覚える」覚え方である。
そして「暗譜」したことで、実際にプレリュードの進み方が加速したように感じたのである。
その理由を考えてみると、楽譜を見ないことで練習の効率や密度が上がったのではないかと思われる。繰り返し練習の回数が増えたり、弾き方や音への集中度が上がることで上達のスピードがあがったのではないだろうか。
さらに、練習の密度が上がることで、「暗譜」の質が、音を頭で覚えるところから「指で覚える」ほうへ、しだいに移ってきたような感覚があった。楽譜ではなく、指と鍵盤を見ながらその動きに集中できることの効果ではないかと思われる。
■ 「脱力」の効果
もう一つは、あらためて「脱力」を意識したことが大きいかもしれない。バッハなので、小指を押さえたまま他の指で弾くなどのむずかしい指使いが出てくる。そういう部分はどうしても力が入ってしまう。
なので「脱力、脱力」と頭の中で唱えながら部分練習を繰り返した。そうすると、いつのまにか以前よりは楽に弾けるようになったのである。不思議なもので、その効果は他の部分にもおよんだようだ。むずかしくない部分でも脱力ができたことで、楽に響く音がでるようになったような気がする。
フレーズの中のクレッシェンドやディミヌエンドが自然にできたり、その中で大事な音を響かせることができるようになったのも、脱力の効果だと思われる。ミスが減ったような気もするが、脱力との因果関係は定かではない。(個人的には脱力の効果もあると思っているが…)
■ フーガで試される効果
ということで、プレリュードはあと一息である。今週中には(ほぼ?)ノーミスで曲を通して弾けるようにしたい。昨日の録音では、3回のミスだけで通して弾くことができた。(私にしては上出来である。)
さて、次は問題の「フーガ」である。プレリュード以上に暗譜は難しそうだし、どこからアプローチすればよいのか、練習方法の糸口さえまだよく分かってない。「暗譜」と「脱力」の効果が試されることになりそうだ。楽しみである。
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