ピアニストの頭打ちになった技量(「天井効果」)が、ロボットによる受動訓練で、故障のリスクなく伸ばせるかも知れない…という嬉しい研究成果だ ♪
✏️ピアニストが自身の限界を超える技能を身体で覚える手法を発見
~ ロボットがもたらす「従来不可能」な動きが、技能の限界を突破する ~
…といっても、「熟練者として高度なスキルを持つピアニスト」の「限界(天井)」を打ち破るという話なので、凄いことなのだが、私のような素人初心者にはほとんど関係ないかも知れない。
初心者向けにもこういう方法(機械をつけて勝手に指を動かしてもらってピアノが上達する…)があるといいのに…(^^;)。
かいつまんで(素人目線で…)説明をしてみると…。
冒頭の写真のような「外骨格ロボット」を装着し、(自力では不可能な)複雑で高速度な手指の動きを受動的に体験するトレーニングを行うと、通常のピアノを使った練習では得られない高い効果(高速の指の動き)が期待できる…というもの。
その効果は(トレーニング直後より減るものの)持続すること、トレーニングした手と反対側の手にも効果が現れることも分かった。
トレーニングの前後で、指の筋力や俊敏性、手指の動きの知覚機能に変化はなく、この結果は、体験した複雑動作を生成しやすいように大脳皮質運動野の機能が可塑的に変化したことを示している…とのこと。
実験は、118人の熟練ピアニストの協力を得て、「複雑な指の動き」(=下図の 3度のトリル)で打鍵スピードがどこまで上がるかを計測・検証したもの。
具体的な実験内容は、
①ピアノを使った通常の方法で 2週間練習し「限界」まで打鍵速度を上げる。1・5・10・14日目に速度を計測する。
②「外骨格ロボット」による 30分間のトレーニングを行う。本人は安静状態で何もせず、ロボットにより受動的に指が高速で動かされる。指は空中で何にも触れてない。(速度は1秒間に4往復のトリル=楽譜では半小節)
③直後、30分後、翌日にピアノを弾いて打鍵速度を計測する。
その結果、打鍵速度(打鍵間の時間:秒)の改善が見られた。
- 普通の練習 2週間で 0.45 → 0.44 と 0.01秒速くなった
- ロボットによるトレーニング前後で 0.44 → 0.41 と 0.03秒速くなった
- 30分後:さらに 0.01秒ほど速くなり 0.40秒に改善
- 翌日:0.42秒程度で効果持続(通常の練習終了時より 0.02秒速い)
その結果をグラフ化したものが下記(赤)。なお、単純な動き(青:1から4の指を同時に打鍵)ではあまり効果が出ないようだ。
おまけ。
「外骨格ロボット」の写真を見たとき、ショパンの時代に実際にあった筋トレ・マシン「ダクティリオン」(↓)を思い出した…(^^;)。発想はまったく異なっているが…。
「外骨格ロボット」の方は、腱鞘炎などを引き起こす無理な練習をしなくても、ピアノが上達する方法を探っている。
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