シューベルトがハンガリー貴族エステルハージ伯爵の音楽教師をしていたツェリス(Zseliz)滞在中(1818年)に作曲された作品。
自筆譜は残っておらず、ヘ短調の未完の両端楽章と、ホ長調のスケルツォの筆写譜のみが伝えられている。のちに変ニ長調のアダージョ D 505 が含まれていることが判明したが、これを第2楽章とするか第3楽章とするか議論が分かれている。
佐藤卓史氏(↓)によると、この曲はベートーヴェンの「熱情」ソナタがモデルとなっている可能性があるそうだ。たしかに、本格的なソナタの雰囲気がありスケール感も感じさせる。
「このヘ短調ソナタは、同じ調性で書かれたベートーヴェンの『熱情』ソナタとの類似点が多い。第1楽章の第1主題のオクターヴユニゾンとトリルのモティーフは言うまでもなく、同じテーマが変イ長調で変奏され副次主題を形作る様子、また次第に3連符の刻みが主体になっていくところは、12/8拍子の『熱情』第1楽章を明らかに想起させる。緩徐楽章の変ニ長調という調性や、フィナーレの16分音符のパッセージも含めて、『熱情』がモデルになっていることはほとんど間違いないだろう」
6〜7人の演奏を聴いたのだが、今ひとつ自分の好みがハッキリしない?…ちょっと不思議な作品?…というか自分でも不思議な感覚である…(^^;)。
どの演奏もそれなりにいいと思いつつ、「これが一番!」みたいなものを感じない。この作品を十分に理解できていないのかも?聴きたいと思う音がイメージできてない?
逆に言うと、様々な解釈を許容する、懐の広い曲なのかも…?
まぁ、何となく気に入っている順にいくつかの演奏を並べてみることにする。なお、アダージョ D 505 を第2楽章に持ってきているのは、この中ではバート・ベルマンとマルティーノ・ティリモ。
ゴットリープ・ヴァリッシュ(Gottlieb Wallisch、オーストリア、1978 - )。
♪ Schubert: Piano Sonatas Nos. 5, 7A, 11 and 12 (Fragments)/ Gottlieb Wallisch:アルバム
(トラックNo. 10〜13:第12番)
パウル・バドゥラ=スコダ(Paul Badura-Skoda、オーストリア、1927 - 2019)。
♪ Schubert, F.: Piano Sonatas Nos. 12, 13 and 19/ Paul Badura-Skoda:アルバム
(トラックNo. 4〜7:第12番)
♪ Schubert, F.: Piano Sonatas Nos. 12, 13 and 19/ Paul Badura-Skoda:アルバム
(トラックNo. 4〜7:第12番)
Marouan Benabdallah(モロッコ)。少し前に見つけた(↓)ピアニスト。この曲の演奏でちょっと気に入った ♪
エリザーベト・レオンスカヤ(Elisabeth Leonskaja、ジョージア、1945 - )。
バート・ベルマン(Bart Berman、オランダ-イスラエル、1938 - )。
♪ Franz Schubert - UnFinished Piano Sonatas/ Bart Berman:アルバム
(トラックNo. 12〜15)
💿Franz Schubert - UnFinished Piano Sonatas/ Bart Berman
参考
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