1819年(22歳)の夏にオーストリアに旅行したときに知り合ったソプラノ歌手、18歳のヨゼフィーネ・コラーのために書かれたという、シューベルト独特の愛らしい旋律に溢れた作品。シューベルトのピアノソナタの中で人気曲の一つ。
この曲は好きな曲で、お気に入り演奏もほぼ決まっている。ピリスさんと内田光子さん ♪
…と思っていたら、他にもいい感じの演奏を三つも見つけて、しかもその中の二人は初めて聞く名前のピアニスト。二人とも有名人のようで、自分の無知を恥じるばかり…(^^;)。
マリア・ジョアン・ピリス(Maria João Pires、ポルトガル、1944 - )さんの演奏は、この曲については私の中でのほぼ「定番」になっている ♪
内田光子さんの演奏も素晴らしい。やや繊細すぎるかも知れないが、こういう演奏を聴きたいときもある ♪
ラドゥ・ルプー(Radu Lupu、ルーマニア、1945 - 2022)の演奏は(たぶん)初めて聴いたが、これも私の好みの演奏 ♪
♪ ラドゥ・ルプー プレイズ・シューベルト:アルバム
(トラックNo. 34〜36)
そして、ここから二人が初めて聴く演奏。二人とも亡くなっていて、ちょっと古いピアニストではあるが、なかなか味わい深いいい演奏を聴かせてくれる。この記事(↓)で教えてもらった。感謝 ♪
✏️シューベルト ピアノ・ソナタ第13番(花の絵)
一人目は、シューラ・チェルカスキー(Shura Cherkassky、ウクライナ、1909 - 1995)。
シューラ・チェルカスキーという名前は恥ずかしながら初めて聞いたのだが、実は日本のクラシック音楽ファンにも馴染みのある巨匠で、「19世紀のグランドマナーを身につけた最後のピアニスト」とも言われている人のようだ。
ウクライナのオデーサ生まれで、ロシア革命の勃発により家族とともにアメリカ合衆国に亡命。後半生はほとんどをロンドンで過ごした。カーティス音楽院で師事したヨゼフ・ホフマンから知的で華麗な演奏様式を引き継いだと言われる。
1935年に初来日。戦後も度々来日、亡くなる 1995年まで毎年のように日本に来ている。
その演奏スタイルは、「知的で華麗」「巨匠的なテクニックと歌うようなフレージング」と言われながら、一方で「奇矯」と評されたりもしている(↓)。
「通俗名曲の中から内声を浮き立たせたりするのはもとより、ルバート、極端なピアノ、フォルテ、同じ曲でも二度と同じ弾き方をしない即興に満ちた演奏家であった 晩年毎年のように来日していたがその演奏は最後まで『不良老人』といったウィットといたずらに富んだものだった」出典:✏️シューラ・チェルカスキー(八木良平)
また、伊熊よし子さんのインタビュー記事(↓)には「ユニークで、型破り、超マイペース」などとあり、文章にまとまらないので、本人の言葉をほぼそのまま載せてある。一度、生で演奏を聴きたかったと思える魅力的なピアニストだったようだ。
もう一人は、ソロモン(Solomon、英、1902 - 1988)というピアニスト。本名はソロモン・カットナー(Solomon Cutner)。
ソロモンという名前も初めて聞いたのだが、吉田秀和さんが絶賛し「最高のベートーヴェン弾き」としてその著作で言及しているピアニストだそうだ。
故国イギリスを中心に欧米でも偉大なベートーヴェン弾きの一人と考えられている。1953年に来日したが、あまり話題にはならなかったという…。
ソロモンは、EMI で 1951年からベートーヴェンのピアノソナタ全集の録音に取り組んでいたが、1956年の夏に脳梗塞のために左手の自由を失い、道半ばにして引退を余儀なくされ、全集は未完に終わった。早すぎる引退だった。
✏️ソロモンの弾くベートーヴェン(クラシック音楽BOX鑑賞の旅)
参考
✏️シューベルト :ピアノ・ソナタ 第13番 イ長調 D 664 Op.120(PTNAピアノ曲事典)
✏️SCHUBERT online
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