2023年8月22日火曜日

シマノフスキ音楽コンクールでロシアの作曲家の作品が禁止!?

このニュース(↓)にはちょっと驚いてしまった。


今年の 9月に開催される第2回カロル・シマノフスキ国際音楽コンクール(ポーランド)において、ロシアの作曲家による作品を演奏することが禁止されたらしいのだ。しかも、開催(ピアノ、ヴァイオリンは 9月5日〜)直前になって…。




上の記事の一部(コンクールの Director からのメッセージ冒頭)を引用すると…。

Given the current sensitivities in Poland to Russian culture, and as a gesture of solidarity with the Ukrainian people, it has been decided that no works by Russian composers will be performed at the 2nd Karol Szymanowski International Music Competition in Katowice.


これまで、ロシア人の参加を認めないコンクールはあったと思うが、ロシアの作曲家の作品を禁止するのは初めてではないだろうか?

ウクライナ侵略などの暴挙の責任はロシアの現政権にあるわけで、昔の音楽家たちには関わりのないことだと思うのだが…。


"Russian composers" の範囲についても微妙な問題がある。

例えばプロコフィエフは、現在の「ウクライナ共和国ドネツク州」にある「ソンツォフカ村」という所の生まれなので、ウクライナ出身の作曲家ということになる。当時は「帝政ロシア」の領土だったのではあるが…。



公式サイトなどには正式な?発表が載っていないので、詳しいことは分からない。


冒頭で引用した記事には、あまりにも突然の決定なので、参加者間の不公平が出ないように演奏時間を短くするようなことが書いてある。

それでも、ロシアの作品を選んだコンペチタとそうでないコンペチタでは差が出そうな気がする。ロシアの作品をメインにしたプログラムもあるかも知れないし…。


公式サイト「指定レパートリー」(PDF)はまだ修正されていないようだが…。

第2ステージの課題曲は、ベートーヴェンのソナタとシマノフスキの作品に加えて、次の作曲家の作品を選べることになっている。



第3ステージ(コンチェルト)では、シマノフスキの "Symphony No 4 (Symphonie concertante) for piano and orchestra op. 60" と、もう 1曲を次の中から選ぶようになっている。

  • Béla Bartók – Piano Concerto No 3
  • Krzysztof Penderecki – Piano Concerto Resurrection
  • Sergei Prokofiev – Piano Concerto No 3
  • Sergei Rachmaninoff – Piano Concerto No 2
  • Maurice Ravel – Piano Concerto in G major

プロコフィエフの 3番やラフマニノフの 2番を選んだピアニストも多いと思うのだが…。公平を期するなら、シマノフスキの 1曲だけにせざるを得ないのでは?

聴く方からすると、何だかとても残念な気がする。


ちなみに、カロル・シマノフスキ国際音楽コンクールは作曲、ピアノ、ヴァイオリン、声楽、弦楽四重奏という部門があり、9月5日〜23日の予定で、ポーランドのカトヴィツェ(Katowice)で開催される。

ピアノ部門では、日本人として荒石果穂、三重野奈緒、島多璃音の 3名が出場することになっている。

ネット配信は NOSPR(National Polish Radio Symphony Orchestra)の YouTube チャンネル(↓)で行われるようだ。


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