《2023年来日ピアニストはなかなか魅力的 ♪ 現代ピアノ曲が増えた?》
ヤブロンスキーが取り上げているグラジナ・バツェヴィチという作曲家のピアノソナタ第2番はなかなか聴き応えがあって、これまでに聴く機会がなかったことに少し驚いている…。
グラジナ・バツェヴィチ(Grażyna Bacewicz、ポーランド、1909-1969)という女性作曲家は、ポーランドではかなり有名な人のようだ。ヴァイオリニストとしても活躍していて、ポーランド放送交響楽団のコンサートミストレス(1936-38)も務めたこともある。
ワルシャワ音楽院(ヴァイオリン科、ピアノ科)を 1932年に卒業し、パデレフスキによる奨学金で 1932年から 1933年までパリに留学、エコール・ノルマル音楽院でナディア・ブーランジェの薫陶を受けた。その後フランスを離れてカール・フレッシュ(Vn)のもとで研鑽を積む。
作曲家としては、ヴァイオリンを中心に多くの作品を残している。7つのヴァイオリン協奏曲、5つのヴァイオリンソナタ、2つの無伴奏ヴァイオリンソナタ、7つの弦楽四重奏曲、2つのピアノ五重奏曲、4つの交響曲など。作風は新古典主義的と言われている。
下記記事による代表曲 6曲は次の通り。
✏️Grażyna Bacewicz: six of her best works(Classical Music/BBC)
- Concerto for String Orchestra (1948)
- Music for Strings, Trumpets and Percussion (1959)
- String Quartet No. 4 (1950)
- Piano Quintet No. 1 (1952)
- Violin Concerto No. 7 (1965)
- Piano Sonata No. 2 (1953)
- Four Preludes for piano (1924)
- Children's Suite for piano (1933)
- 3 Groteski for piano (1935)
- Piano Sonata No. 1 (1949)
- Piano Sonata No. 2 (premiered 1953)
- Rondino for piano (1953)
- Two Etudes in Double Notes for piano (1955)
- Sonatina for piano (1955)
- 10 Concert Etudes for Piano (1956)
- Mały tryptyk [Little Triptych] for piano (1965)
- Rybki [Fish] for piano (1967)
室内楽では 2曲のピアノ五重奏曲の他、ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 5曲など。
- Piano Quintet No. 1 (1952)
- Piano Quintet No. 2 (1965)
ピアノ協奏曲は、1949年度ワルシャワ・ショパン作曲コンクール準優勝作品。
- Concerto for Piano and Orchestra (1949)
- Concerto for Two Pianos and Orchestra (1966)
YouTube などを見ると、クリスチャン・ツィメルマン、ペーテル・ヤブロンスキーなどが録音していたり、CD を出したりしているようだ。
また、バツェヴィチの「ピアノ曲集」を出しているピアニスト(とくに女性)も何人か見つかった。ピアノ曲のレパートリーとしてもある程度の人気があるのかも…。
ペーテル・ヤブロンスキー(Peter Jablonski)の CD はコレ(↓)。ピアノソナタ第1番はヤブロンスキーが編集して PWM(ポーランド音楽出版社)から出版した版を使用。
収録曲は下記。
- 演奏会用クラコヴィアク(1949)
- 10の演奏会用練習曲(1956-57)
- 2つの音符による2つの練習曲(1955)
- ピアノソナタ第1番(1949)
- ピアノソナタ第2番(1953)
解説記事(↓)。
✏️ペーテル・ヤブロンスキーの新録音はポーランドの女性作曲家グラジナ・バツェヴィチのピアノ作品集!(Tower Records)
✏️Bacewicz: Piano Sonatas Nos 1 & 2 etc (Jablonski)(Classical Music/BBC)
YouTube にプレイリストがある。
♪ Bacewicz: Piano Works(プレイリスト)
「10の演奏会用練習曲」の演奏動画(↓)もある。
クリスチャン・ツィメルマン(Krystian Zimerman)のアルバムはピアノソナタ第2番と 2曲のピアノ五重奏とのカップリング。
…で、紹介しておいて何だが…、実はツィメルマンの演奏は、このアルバムに関してはあまり好みではない…(^^;)。録音のせいかも知れないが、なんだか少し乱暴に聴こえてしまう。五重奏のアンサンブル(バランス?)も今ひとつ感心しない…。
ピアノソナタ第2番については、ヤブロンスキーか、下記のリッカルド・デスカルツォ(Ricardo Descalzo)というスペインのピアニストの演奏の方が好きだ。
✏️Ricardo Descalzo(本人サイト)
ピアノ五重奏第1番については、こちらの音源(↓)の方が気に入った。演奏は Silesian Quartet と Wiaczeslav Nowikow というピアニスト。
あと、ピアノ協奏曲についてはあまり音源がないようだが、ユリア・コチュバン(Julia Kociuban、ポーランド、1992-)が弾いたものが見つかった。それなりにいい感じの作品だ。コチュバンは 2015年チャイコフスキーコンクールのセミファイナリスト。
元の CD はコレ(↓)。
💿Piano Concertos 2020年
何人かが出しているバツェヴィチの「ピアノ曲集」から、YouTube に CD 丸ごとの音源(↓)があったものをご紹介しておく。"Children's Suite" も入っている。弾いているのはリトアニアの Morta Grigaliūnaitė(モルタ・グリガリュナイテ、1991-)というピアニスト。
元の CD(↓)。
💿Bacewicz: Piano Music 2019年
収録曲:
- Little Triptych
- Concert Krakowiak
- Children’s Suite
- Two Etudes for Double Notes
- Ten Concert Etudes
- Trois pièces caractéristiques
- Piano Sonata, No. 2
個人的な全体的な感想としては、グラジナ・バツェヴィチのピアノ作品はもっと演奏されてもいいのでは?…と思った。「女性」ということが影響しているのだろうか?
主な参考記事は下記。
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