最近の CD チェック、第2弾は福間洸太朗さんの『幻想を求めて - スクリャービン&ラフマニノフ』を取り上げる。
スクリャービンもラフマニノフも、実はそれほど好んで聴いてきた作曲家ではないが…(^^;)…、「幻想」というキーワードで構成されたこのプログラムは、なかなか聴き応えがあって良かった ♪
💿幻想を求めて - スクリャービン&ラフマニノフ
スクリャービン
- 3つの小品 Op. 2 – No. 1 練習曲 嬰ハ短調
- 12の練習曲 Op. 8 – No. 12 嬰ニ短調「悲愴」
- 幻想ソナタ 嬰ト短調 WoO 6
- ピアノソナタ第2番 嬰ト短調「幻想」 Op. 19
- 左手のための2つの小品 Op. 9 – No. 2 ノクターン 変ニ長調
- 幻想曲 ロ短調 Op. 28
ラフマニノフ
- 幻想的小品集 Op.3
- エレジー 変ホ短調
- 前奏曲 嬰ハ短調「鐘」
- メロディ ホ長調
- 道化役者 嬰へ短調
- セレナード 変ロ短調
- ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 Op. 36 (1931年改訂版)
全体的には、ピアノの音がよく響いていて、福間さんのとてもニュアンスに富んだ歌うような弾き方も作品にあっていて素晴らしいと思った。
録音直後のインタビュー動画で、ご本人も「楽器がどんどん鳴ってくれる」と言っておられたが、楽器と「相模湖交流センター ラックスマンホール」という音響に定評のある(らしい)録音環境が、その演奏をさらに引き立てたのかも知れない。
演奏としてはどの曲も良かったのだが、作品としてちょっと気に入ったのがスクリャービンの「幻想ソナタ 嬰ト短調 WoO 6」(1886年)。初めて聴く曲だ。
続けて収録されている「ピアノソナタ第2番 Op. 19」(1892年)も「幻想ソナタ」と呼ばれており、しかも同じ 嬰ト短調なので紛らわしいが、WoO 6 の方はスクリャービン 14歳のときの作品。
弾かれる機会は少ないようで、PTNAの「ピアノ曲事典」には載っていない。
メロディーラインも構成も割とシンプルで、ソナタとしては小規模なものだが、個人的にはそのシンプルさがとても気に入った ♪ もっと弾かれてもいいような気もする。
ちなみに、楽譜を見たいと思ったら、楽譜を表示してくれる動画があった。弾いているのは Soyeon Kate Lee というピアニストだが、こちらもなかなかいい演奏だと思う。
♪ Alexander Scriabin - Sonata-Fantaisie in G# Minor (1886)
*
もう一つ気に入ったのは、有名な「鐘」。幻想的小品集 Op.3-2「前奏曲 嬰ハ短調」である。少し抑えめの演奏がちょっと新鮮な感じで、個人的にはこの方が好きだ ♪
わりと聴き慣れている「エレジー」や「メロディー」もこうしてまとめて聴くと、また少し違った印象で面白かった。
おまけ。録音直後(2022年10月)のインタビュー動画と、関連企画の「対談」。
✏️音楽と文学における「幻想」をめぐって【前編】(福間洸太朗 × 高原英理 対談)
✏️音楽と文学における「幻想」をめぐって【後編】(福間洸太朗 × 高原英理 対談)
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