2022年10月10日月曜日

🎹A.ルイ 1949- 東洋と西洋を結びつけた独特のピアノの響き ♪

《鍵盤音楽史:現代》 40(+2)人目の作曲家は、アレクシーナ・ルイ(Alexina Louie, カナダ, 1949-)。

カナダで活躍している八坂公洋というピアニストのことを調べているときに、彼の最新 CD(2020年)に入っていた「ファストフォワード」という曲でちょっと気に入った作曲家。





アレクシーナ・ルイは、移民二世の中国人両親のもと 1949年バンクーバーで生まれる。7歳でピアノを始め、17歳で王立ブリティッシュコロンビア音楽院(グレン・グールドの母校)に入学。その後、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の作曲科で 1974年まで研鑽を積む。1980年にカナダのトロントに拠点を移している。

作品はオペラ、バレエ、オーケストラ、協奏曲、室内楽、合唱曲、器楽ソロ(ピアノ、チェロ、ハープ)と多岐にわたる。世界的な指揮者のシャルル・デゥトワ、L.スラトキン、アンドリュー・デイビス等にも取り上げられた。

グラミー賞にあたるカナダ国内のJUNO賞で、ベストクラシック作品賞を2回受賞。


西洋の古典および現代音楽を学ぶが、それに飽き足らず、自らの独自の音楽を求めて、アジア音楽や楽器を研究するようになる。

自らのルーツである中国だけでなく、日本、韓国、インドネシア、北インドなどの音楽を研究し、楽器を収集し、文化を学び、自らの音楽に取り入れていった。

ピアノ曲にも、邦楽の篳篥(ひちりき)や笙(しょう)、中国の古い琴や銅鑼(ドラ)の響きなどが取り込まれ、またその発想の中に東洋の「陰陽」の考え方などが反映されている。

下記記事には、代表曲とされる "Scenes in a Jade Terrace" や "I leap through the sky with stars" などのピアノ曲の例が具体的に示されている。

※CFMTA: The Canadian Federation of Music Teachers’ Associations


主なピアノ作品は下記の通り。出典は本人サイトの✏️Catalogue ページ。

ピアノ協奏曲/ 室内楽
  1. Concerto For Piano and Orchestra (1984)
  2. Out Of The Night, Birdsong (2019): Violin, cello, piano
  3. Falling Through Time (2016): Piano quintet
  4. Music From Nightʼs Edge (1988): Piano quintet
  5. Afterimages (1981): Two pianos

ピアノソロ作品
  1. Small Beautiful Things (2016): 11 Character Pieces
  2. Fastforward (2008) *1
  3. In A Flash (2006)
  4. Put On Your Running Shoes (2003) *2
  5. Starstruck (1996) *3
  6. Touch (1996) *4
  7. Star Light, Star Bright (1995)
  8. I Leap Through The Sky With Stars (1991) *5
  9. Scenes From A Jade Terrace (1988)
    1. Warrior
    2. Memories In An Ancient Garden
    3. Southern Sky
  10. Star-Filled Night (1987)
  11. Music For Piano (1982)
    1. The Enchanted Bells
    2. Changes
    3. Distant Memories
    4. Once Upon a Time

*1〜*5 はコンクールの委嘱作品
*1 Montreal Piano Competition
*2 Honens International Piano Competition(for laureate Katherine Chi)
*3 Eckhardt-Gramatté Competition
*4 Honens International Piano Competition
*5 Canadian Music Competitions


YouTube には思ったより沢山の音源がある。下記に挙げるのは比較的気に入った演奏。









ピアノ曲以外で "O Magnum Mysterium: In Memoriam Glenn Gould" という室内オーケストラのための作品を(グレン・グールードの名前にひかれて)聴いてみた。

弦のグリッサンドが多用されていて、ちょっと変わった雰囲気の曲だが、聴いているうちにこれもアリかな?…くらいには思えてきた…(^^;)。


アレクシーナ・ルイの楽譜は、"Canadian Music Centre" というサイトで見る(&購入する)ことができるようだ。例えばコレ(↓)。

✏️CMC /Music Library(National Arts Center)




主な参考記事は下記。

✏️Alexina Louie(Wikipedia/ 英語)

✏️ALEXINA LOUIE(本人公式サイト)
✏️Alexina Louie(A Seat at the Piano)



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