2017年8月26日土曜日

本『クラシックの新常識』?

若い頃は自分自身で「クラシック音楽ファン」だと思っていたのだが、最近は「(クラシック)ピアノ音楽ファン」だと思うようになってきた。

オーケストラの曲で知っている、あるいは聴いたことのある曲はかなり限られているし、室内楽などほとんど知らないに等しい。それに世の「クラシック・ファン」が大好きらしいオペラやバレエ音楽にも興味がない。

でも、少し(一通り?)は知っておきたいとも思う。…ので、たまに思い出したように『痛快! クラシックの新常識』などという本を、図書館で見つけては読んでみたりする。





まぁ「入門書」の類なので、それほど面白い話はなかったのだが、次の3章構成にそってメモ的感想文を書いてみる。

第1章:クラシックの常識・非常識
第2章:大作曲家の素顔
第3章:クラシック名盤ベスト25


第1章に「クラシックは当時のポップスだった?」という、よく聞く話が書いてある。「クラシックが静かに鑑賞すべき尊い芸術だと見なされるようになったのは、実は遠い昔ではない」と始まって、そのあとの話を期待したのだが、残念ながら何も書いてない。

いつ頃からどういう経緯で「尊く」なったのかが分かると、今後のクラシック音楽を考えるヒントになったかも知れないのだが…。

「クラシック作曲家」の定義?(↓)は、ちょっと皮肉交じりで面白いのだが、「質を求める芸術音楽主義」というのがよく分からない。音楽における「質」って何なのだ?「芸術音楽」とは?

現代においては、作品だけではなかなか食えない作曲家をクラシック作曲家と考えることができよう。要するに、ヒット至上主義ではなく、質を求める芸術音楽主義ということ


第2章は、大作曲家の素顔?を2ページちょっとにまとめて、やや誇張して面白く紹介している。面白い話を読んで、興味を持って、1曲でも聴いてもらえたらラッキーくらいの軽い紹介記事だ。

で、パラパラ読み進むと「まだいるのか…」というほど大勢の「大作曲家」が登場する。数えると36人で、全部知っている作曲家だ。(私も)意外にたくさん知っているんだなぁ、と妙に感心。


この中で、ちょっと「あれっ?」と思ったのはアルカンくらい。シャルル=ヴァランタン・アルカンってそんなに有名だっけ?

…と思ってよく見ると、逆にプロコフィエフが見当たらない。ジョン・ケージはいるがシェーンベルクがいない。グリーグはいるが、シベリウスがいない…とか少し気になることがないでもない。面白いエピソードとかがなかったのか…な?


ちょっと面白かったのは、ロマン主義の時代には2種類の音楽があるという話。

一つは「自分の心の中をひっそりと表したピアノ音楽」で、もう一つは「大規模なオペラや管弦楽曲で、『どうだ、オレはこう感じているんだぞ、おまえも賛成しろ』と聴き手を征服しようとする音楽」。

前者の例としてシューマン、ショパン、ブラームスなど、後者の例としてワーグナーやマーラーなどが紹介されている。

そうか!そうだったんだ! 私が好きなのは「自分の心の中をひっそりと表したピアノ音楽」で、あまり好きでないのがワーグナーに代表される「聴き手を征服しようとする音楽」だったんだ! なんか「腑に落ちた」感じ…(^^)♪

最初に書いた「私はピアノ音楽ファン」というのが、裏付けられた?…ような気もする。


「第3章:クラシック名盤ベスト25」はちょっと疑問を感じた。

いや、掲載されているCDはすべて「名盤」なのだとは思う。でも、指揮者でいうと「カラヤン、カール・ベーム、ゲオルク・ショルティ、…」とかなり古色蒼然とした名前が並んでいる。たしかに記念碑的な名演奏なのだろうが「新」常識と謳うなら、これはちょっと古すぎませんか?という感じ…(^^;)。


ピアノ曲でいうと、マリア・ジョアン・ピリスの『ショパン:夜想曲全集』と、マルタ・アルゲリッチの『チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番』がとり上げられているのだが…。







ピリスさんのは2014年発売(来日記念)だが、説明に「1996年レコード・アカデミー賞器楽曲部門受賞」とあるので録音はかなり前のもの。アルゲリッチのは「1980年と82年にレコーディングされたライヴ盤」のようだ。

もう少し最近の、ピアニストであれば、例えばダニール・トリフォノフとか、それが若すぎるならピエール=ロラン・エマールとかピョートル・アンデルシェフスキあたりの世代の名盤を紹介してほしいものだ…と思った。



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