2017年2月5日日曜日

音楽の著作権について:JASRAC問題

2月2日に、JASRAC(日本音楽著作権協会)が「ピアノ教室などから著作権の使用料を徴収する方針」を打ち出したことで、業界や関係者は大騒ぎになっている。

個人的にピアノを趣味にしている私から見てもトンデモない!と思うのだが、ピアノ教室の先生方にとっては、これから何がどうなるのか…戦々恐々というところだろう。お気の毒に…。




とりあえずの事実関係の報道としては、次の2つのニュースで十分だろう。(以下、緑の文字は記事からの引用)



日本音楽著作権協会(JASRAC)は2日、ピアノなどの音楽教室から著作権の使用料を徴収する方針を明らかにした。楽器の練習や指導で楽曲を演奏しており、音楽著作権管理での「演奏権」にあたると判断したという。使用料は受講料収入の2.5%とし、文化庁への届け出を経て2018年1月に徴収を始める考えだ。


●音楽教育守る会発足 運営7者、JASRACに反発(2/4 静岡新聞)
 ※追記@2023/07/06:リンク切れ

音楽教室を運営する企業、団体など7者が3日までに、「音楽教育を守る会」(代表・三木渡ヤマハ音楽振興会常務理事)を結成した。…守る会を構成するのはヤマハ音楽振興会のほかに、河合楽器製作所、開進堂楽器、島村楽器、全日本ピアノ指導者協会、宮地商会、山野楽器。

都内で開いた初会合では「(JASRACが主張する)演奏権が及ぶのは、公衆に聞かせるための演奏であり、音楽教室での練習や指導のための演奏は該当しない。文化の発展に寄与するという著作権法の目的にも合致しない」との活動方針を決定した。


これに対し、各方面からかなりの反発(意見)が出されている、というのが現状のようだ。以下、主なものの抜粋。



文化の発展に寄与するという著作権法の目的にも合致しない。



JASRACは自らの存在意義を根本から見直したほうがいいよ。既得権益の維持ばっかり考えて、音楽の未来を閉ざしてるとしか思えない。

生徒は楽器の演奏技術を体系的に学ぶためにその対価として授業料を支払っているのであって、『聴衆』として楽曲を楽しむために音楽教室に通っている訳ではない。JASRACは著作権保護という本来の目的を完全に見失っている…



根底にあるのは、民間の教育施設を音楽文化や産業全体にとってどう位置づけるかであり、仮に徴収を行うとしても使用料規定には相当な配慮は必要だろう。マーケットの根を細らせないバランスが問われる。


●公衆とJASRAC(BLOGOS)
 ※追記@2023/07/06:リンク切れ(サービス終了)

利用料というのであれば、演奏した曲毎に徴収するのが本来であるが、そうはしていない。
JASRACは、包括許諾契約が独占禁止法に違反すると言われたばかりであるが、懲りずに、みかじめ料よこせのようである。



音楽教室で「練習のために」弾いたり歌ったりするものから、使用料をもらいたいと思ったことなどない。(作詞家 及川眠子さん)


法律的には、音楽教室の生徒が「聴衆」に当たるのか、ピアノの練習が「演奏」なのか、発表会の参加費が「収益」に相当するのか、などのややこしい議論があるようだ。

普通に考えるとどれも違うと思うのだが、一般的な常識が通用しないのがこの業界?という解説もあった。もしそうだとすると、それ自体が大きな問題であるような気もするが…。

私自身はピアノ教室に行っていないので、直接は関係ないのだが、「文化の発展に寄与するという著作権法の目的にも合致しない」という批判は当然ではないだろうか。


音楽に関する活動がもっと自由に豊かに行われ、子供や若い人たちが余計なことを気にせず音楽を楽しみ学べるような社会が望ましいと、業界関係者は考えないのであろうか?

作曲家・作詞家・演奏家などの「クリエイトする側」にいる人たちは、本当に音楽教室などの音楽教育活動からお金を取りたいと考えているのだろうか?

作詞家 及川眠子さんの「音楽教室で『練習のために』弾いたり歌ったりするものから、使用料をもらいたいと思ったことなどない」という言葉が、大多数の意見であってほしいと思う。



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