2015年7月16日木曜日

大人のピアノ再考1:ピアノ学習の目的?

ちょっと古い本(1998年刊)だが、タイトル(↓)に惹かれて『大人だってピアニストに!!』(藤田 誠治 著)という本を読んだ。副題が「中高年齢者のピアノ学習」となっている。




著者の博士論文(個人的な研究成果)がベースになっているせいか、あまり読みやすい本ではないが、内容が私自身の状況に関することなので、興味深く読めた。

あらためて「大人のピアノ」について考えるいいきっかけになったので、いくつかのトピックスに関して、書いてみようと思う。


まずは、ピアノを学習する目的について。

著者はピアノ音楽誌「ショパン」と毎日新聞でアンケートを行い、回答者40人(32歳〜74歳)の結果をまとめている。それによると、「ピアノ学習の目的(複数回答)」の結果は下記のようになっている。

 趣味:33人
 生き甲斐:16人
 ストレス解消:16人
 余暇:12人
 教養:10人
 交流:9人
 ボケ防止:3人

回答者数があまり多くないので、参考程度ではあるが、まぁ「想定内」の答えである。


ちなみに、私の「興味マップ」(↓)と比べてみると、表現は違うものの似たような内容である。「生き甲斐」というほどではない点と、「ストレス解消」はちょっと違うかもしれないが…。

私の場合は「人生を楽しむということの一つにピアノを弾くことがある」といった感じだろうか。目的ということではないかも知れないが、好きなものは好きなのである。で、どうせやるなら自分で満足できるところまでは目指したいと思うのだ。


【ピアノに関する興味マップ】


この図の説明はこちら→《ピアノに関する「興味マップ」》


ただ、もう少し見てみると、ちょっと様子が違ってくる。この本に書いてある典型的な「大人のピアノ学習者」像が次のような感じ。

  • 47歳の女性、1日に1.5時間練習
  • ピアノが好きになったのは子供のときに聞いた「乙女の祈り」
  • 当面の目標:バイエルなどの教本を習うこと
  • 最終目標:「乙女の祈り」「花の歌」を弾くこと(モーツァルトと言いたいが、いまさら無理)


私自身は、「教本」類にはあまり興味がないし、最終目標(あまり意識したことはないが)はもっと上を目指したい、と思っている。聴いて「いいなぁ」と思う曲を、自己満足レベルでもいいから弾けるようになりたいと思っている。

この本の著者も、実はもっと上を目指せるはずだ、ということを主張している。その根拠となる仮説がいろいろ書いてあって面白いのだが、長くなるので、また明日にでも続きを書くことにしたい。いくつかあげておくと…。

  • ヴァイオリンの「スズキ・メソッド」のように、「母国語を習得するように楽器を弾けるようになる」方法論があるはずだ。
  • 音楽や楽器は小さい頃から始めなければダメだ、というのは誤った考え方である。
  • 中高年齢者にもいろんな能力があるし、成長する可能性もある。
  • 「発達」に関する学問的研究は幼児や子供が中心であり、中高年を含む「生涯発達」の研究はこれからである。


…ということで、続きは次回…。



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