さらに、「手元を見ないで弾く」ことの練習として「初見練習」は必ずしも最適な方法でないことも何となく感じてきた。なので、今はもう少し基本的なところからの練習をしているところである。
→《「手元を見ないで弾く」練習方法と「初見」練習の関係 ♪》
ところで、いろいろ調べているうちに「初見」(正しくは「初見視奏」というらしい…)の上達のためにはいろんな能力や知識や経験(慣れ・訓練)が必要だというのが、おぼろげながら分かってきた。
今回は「初見」そのものの練習に取り組む余裕はないのだが、今後のために簡単にまとめておこうと思う。まず、私がまったく理解していなかった「初見」の 3つの基本から…。
①弾き始める前に楽譜を一通り見る
②テンポどおりに弾く
③間違っても止まらない
①は「初見」というくらいだから、まったく見たことのない楽譜を見てすぐに弾き始めなくては…と思っていたのだが、まず楽譜を見て簡単な「楽曲分析」のようなことをやって(必要なら書き込みもして)から弾くのが普通らしい…と初めて知った…(^^;)。音大の試験なんかでも弾き始める前に5分程度の時間があるようだ。
②と③は言われてみれば当たり前なのだが、私の場合「初見」というと選曲のための「試し弾き」がほとんどなので、弾けるテンポで、間違ったら弾き直すというのを当然のようにやっていた訳だ…(^^;)。
さて「初見視奏」に必要なことを、あちこちから寄せ集めて一つの絵にしてみた(↓)。
参考にしたのは、主に下記の記事。
✏️初見視奏の得手・不得手を分ける鍵とは?
✏️上達のヒント 初見で弾こう
まずは、楽譜を正しく読み取る「読譜力」が必要なわけだが、ソルフェージュのような「能力」はもちろん、ピアノ音楽に関するいろんな「知識」も必要なのは当然だろう。
「読譜力」のところに「(慣れ)」と書いたのは、ピアノ曲によく出てくる左手伴奏やアルペジオなどのパターンや「音楽語法」というのか、そういったものの「蓄積」が重要だというようなことを『ピアニストの脳を科学する: 超絶技巧のメカニズム』という本で読んだことがあるからだ。
《読書メモ:ピアニストの脳を科学する》にこういうこと(↓)をメモしている。文中の「音を聴くだけで」は「楽譜を見るだけで」もあったはずだ。
「ピアニストはピアノの音を聴くだけで、指を動かす神経細胞が活動する
- 音に身体が反応する回路、指の動き(や視覚)によって音が想起される回路がある
- これまでに弾いた・聴いたパターンの蓄積が効いている」
「まとめて見る・覚える」は、音符をかたまり(チャンク)として捉える音楽的な能力と、どのくらい先を見ることができるかという身体的能力(情報処理スピード、周辺視、短期記憶など)が関係しているようだ。
弾いている所と見ている所の幅を「アイ・ハンド・スパン eye-hand span(視手範囲)」と言うらしい。
「手元を見ないで弾く」は、現在「練習&研究」中であるが、基本的には鍵盤の位置関係や音のパターンをどれだけ指が感覚的に覚えているか、が重要な気がしている。また、ここでも「周辺視」という視野の端っこで何となく見えているものを利用することも大事だと思われる。
あとは基本的なこととして、「見る、理解する、弾く、聴く」を同時並行で行う能力が必要なことは言うまでもない。同時通訳者が「聞く、理解する、翻訳する、話す」を同時並行で行うのと似ているかも知れない。
そして個人的に一番気になるのが「処理スピード」。
結局のところ、楽譜を見て理解して、それを指の動きに伝えてピアノを弾く…というのは神経回路や運動神経の働きである。上に書いた「慣れ」(蓄積)というのも大事だと思うのだが、一方で頭や指の「回転スピード」が必要になってくると実感している。実感しているのはその「遅さ」なのだが、歳のせいにはしたくない…(^^;)。
おまけ。参考記事「初見視奏の得手・不得手を分ける鍵とは?」の筆者、安達真由美先生は『演奏を支える心と科学』という本の監訳者と書いてあったので、見てみたら表紙(↓)に見覚えがあった。以前読んだことがあるようだが、内容はあまり覚えてない…(^^;)。
《ピアノの本ベスト5:②理論・科学》
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