2014年8月7日木曜日

武満徹のピアノ作品(現代ピアノ曲探索の旅)

現代ピアノ曲を探す中で、武満徹の小品を見つけた。

武満徹については「ノヴェンバー・ステップス」「弦楽のためのレクイエム」くらいしか作品名を知らないし、ピアノ曲はほとんど聴いたこともない。なので、少し勉強しようかと思っていたら、図書館でたまたま目に入ったのが『武満徹―その音楽地図』という新書であった。さっそく借りて読んでみた。




このなかで紹介されていたピアノ(独奏)曲をとり出してみる。→印のあとの説明はこの本の著者、小沼純一氏のコメント(勝手に抄録・意訳)。


初期作品:「ロマンス」(1948-49)、「二つのレント」(1950)
→ピアノに対しておずおずと触れる姿が髣髴とさせられる…

遮られない休息」(1952-59)
→瀧口修造の詩にインスパイアされた3つの曲。より大胆に密集した和音を押さえる。否応なしに減衰していくピアノのひびきを紡ぎ続けることによって得られる音楽。

ピアノ・ディスタンス」(1961)
→通常の拍子とは異なる「1小節が一息、約3秒」という時間枠で区切られる。60年代は武満がもっとも「前衛」的であった時代。

ピアニストのためのコロナ」(1962)
→グラフィック・デザイナー杉浦康平との合作による図形楽譜。

※この図形楽譜の絵を探していたら、こんなブログ(「グリーン」)を発見、図形楽譜が掲載された本の写真がある。

フォー・アウェイ」(1973)
→ガムラン音楽の影が最後の方で響く。(前年にバリ島へ旅行)

こどものためのピアノ小品」(1978)
→NHK「ピアノのおけいこ」委嘱作品。現代音楽的ではないが武満らしい曲。とっつきにくさはないが、実際に弾こうとすると難しい。

閉じた眼」(1979, 1988)
→ルドンの同名の絵にインスパイアされた曲。ある落ち着きが全体に漂う。

雨の樹 素描」シリーズ(1981, 1982, 1992)
→大江健三郎の短編をきっかけに生まれた。ミニマルミュージック的な音も。


《【現代ピアノ曲】日本人作曲家》にリストアップしたのは「ロマンス」(Romance)と「こどものためのピアノ小品」(Piano Pieces for Children)であった。この2つの作品が私にとってとっつきやすかったのは、「現代音楽」っぽさがあまりなかったせいかもしれない。

この本の解説を読んで聴いてみたいと思った曲は、正直言ってあまりない。しいて言えば、ミニマルミュージック的という解説のある「雨の樹 素描」シリーズくらいか…。しかし「聴かず嫌い」はよくないので、いずれ聴いてみようとは考えている。


それよりも興味をひかれたのが、実はいくつか紹介されている独奏曲ではない曲にあった。それが2台のピアノとオーケストラのための次の曲である。

夢の引用」(1991)
→ドビュッシーの《海》、あるいは自作の海にまつわる作品からの引用がさかんに行われる。「現代音楽」が苦手だという人も、ドビュッシーや《海》を愛聴していればこの作品に拒否反応を起こすことはないだろう。

もちろん、興味を持ったキーワードは「ドビュッシー」である。「現代音楽」の中にどのように組み込まれて(引用されて)いるのか、あるいは展開されているのか、ぜひ一度聴いてみたいと思った。


それにしても、
「現代音楽」に対するスタンス、というか気持ちがいまだに定まらない。現代の音楽(ピアノ曲)を知りたい、分かりたい、好きになりたいという気持ちと、聴くたびに「やはりどこかが違う」という拒否反応にも似た気持ちが混じっている。

ドビュッシーを練習し始めて、少しは現代的な音?に慣れてきたとは思うのだが…。

現代の音楽に対する探索の旅はまだまだ続きそうである。



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