ピリスさん(マリア・ジョアン・ピレシュ:Maria João Pires、ポルトガル、1944〜)が、ついに、今回は本当に引退されるようだ。今年夏の来日公演も、軽い脳梗塞でキャンセルされていたので心配していたのだが…。
ピアノ演奏が素晴らしいのは言うまでもないが、心から尊敬できる音楽家の一人だと思っているので、引退は本当に残念だ。でも、もう 81歳、お疲れ様、ありがとう…と言うべきなのだろう。
8年前、2017年の 12月に引退宣言を聞いたときにも、本当にびっくりした。
でも、このときはピアノを弾くことからは「引退」されずに、その後もマイペースで演奏活動やワークショップなどは続けておられた。
2018年 4月には日本での最後のコンサートが行われることになり、素晴らしいベートーヴェンを聴かせて戴いた…(^^)♪ このときの感動は忘れられない。
昨年、ピリスさんは「高松宮殿下記念世界文化賞」を受賞された。その授賞式で話された内容も、それを実践されていることも本当に素晴らしいと思う。
「現在、芸術は美術館やコンサートホールなどの閉ざされた空間の中に限定されてしまっていますが、より広く、社会全体に浸透させることがアーティストの使命だと考えています」
「私は、みんながただ一つ、幸せになることが必要だと考えています。それだけでいいのです。幸せになるために何かをするのか、しないのか。…人を傷つけることなく、環境を傷つけることなく、動物を傷つけることなく、何かを傷つけることなく、幸せを生み出すための想像力と、何かを考える…。いまより少しでもよくなるような世界を自分たちの想像力で創造する~そのためにベルガイシュ芸術センターは作られたものです」
今回も、「ヘレナ・ヴァス・ダ・シルヴァ賞」(文化遺産に関する意識向上に貢献した人物を表彰するヨーロッパの賞)というのを受賞されている。
詳しいことは分からないが、ピリスさんの "exceptional aptitude for communicating European culture and values through music" を評価しての授賞ということのようだ。
11月1日に行われた授賞式(↓)でも、ピリスさんが 15分ほどのスピーチをされている(タイムスタンプ 1:32:40〜)。
自動翻訳の英語の字幕でしか分からないが、数カ月前にピアニストとしてのキャリアを終えたこと、病気は治りつつあると信じていることなどを話しておられる。
そして、これからのこととして「真実を探し求める根本的な変化の過程にある」みたいなことを(具体的な内容は分からないが…)仰っている(↓)ので、今後の活動に期待できそうな気もする。二本の杖が気になったが、まだまだお元気そうなので…(^^)♪
"Now I find myself in a process of radical change in a search for truths on a pass of acceptance, perhaps of understanding what I never accepted before."
参考✏️マリア・ジョアン・ピリスが引退(新ゴロウ日記)
長い間、美しい音楽を届けて戴いて、そして沢山のピアノ曲の深い美しさを教えて戴いて、本当にありがとうございました。(というか、残された音源の数々はいつまでも聴かせて戴くと思います ♪)
これからもお元気で活躍されることを願っています ♪
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